下の表は、各リスクイベント時の原油価格、ウクライナ侵攻からの変動率、為替(円ドル、月平均)を示したものである。原油円換算は、原油価格と為替レートで1リットルに換算した原油価格だ。
前ページで述べた通り、ウクライナ侵攻から、ハマスのイスラエル襲撃、イラン・イスラエル12日間戦争を経て、26年2月まで原油は31.4%下落した。一方、円はドルに対して36.0%の大幅下落だ。
各種資料を基に筆者作成(詳細は表中)拡大画像表示
さて本題のケース1から試算しよう。まず、原油価格が93ドル/バレルへ上昇し、これに為替条件1ドル157円を加味すると、原油価格は1リットル92円に値上がりする。この原油を輸入し、精製して販売すると、ENEOSなどの元売りから特約店への卸売価格は1リットル155円になる。さらにガソリンスタンドなどの経費とマージンを加えて販売すると、ガソリン価格は1リットル178円~190円となる。
同様にケース2では、原油価格がさらに値上がりして98ドル/バレルとし、原油高が日本経済を襲って円安が進み1ドル163円になるのを加味すると、ガソリンの小売価格は186円~198円にも達する。
さらに原油先物市場が急騰したり、ホルムズ海峡の封鎖が1カ月以上に長引いたりすれば、ガソリン価格が1リットル200円を超える可能性も十分あるだろう。
高市政権でガソリン補助金を再開
さすがに無理があるワケ
さてここで、「高市政権でガソリン補助金を再開すれば良いではないか!」と考える読者もいるかもしれない。しかし、それはさすがに無理がある。
すでに旧暫定税率が廃止され、財源はない。しかもこの物価上昇の中、逆進性があり、都市と地方で恩恵に格差があるガソリンにこれ以上、巨額の税金を投入することは許されない。補助金などの対策は、電気やガス料金に限定せざるを得ないというのが今後の現実的な見立てである。
輸入原油の中東依存度が
95.9%と過去最高を更新
1973年の第一次オイルショック、78年の第二次オイルショック、2008年のリーマンショック、11年の東日本大震災、22年のロシアのウクライナ侵攻、そして今回の米国とイスラエルによるイラン攻撃――。およそ50年間で、エネルギー危機につながるショックが6回も繰り返された。危機は繰り返しやって来るのだ。
輸入原油の中東依存度は、資源・エネルギー統計(石油)によると、第一次オイルショック時77.5%、第二次オイルショック時75.9%だったのが、87年には67.9%まで低下した。しかし2009年には再び90%近くに上昇。15年に82.5%へ下げたが、再び上昇し、24年度には95.9%と過去最高を更新している。
繰り返される危機への備えに必要なのは、当たり前のことではあるが、安定供給への備えを継続して監視し、確実に政策に反映・修正させていくことにある。※日本の備蓄状況は次ページで詳報
「ガソリン200円」への危機を、今一度、政策チェックの試金石にすべきだ。







