水産界に身を置く人間にとってなかば常識とも言える「世界の海面漁業はほぼ頭打ちにあり、奇跡のように漁獲量を伸ばせる国などない」という事実がありながら、日本はひとり漁獲量を減らしている国であり、漁獲増加を妨げているのが漁業者の獲りすぎにある、とする意見が何度もマスコミに取り上げられ、水産界以外の評論家や社会経済学者の方々まで容易にそれを信じてしまうのはなぜでしょうか?
私は、そこに、あまりにも幸運すぎた戦後の日本漁業の歴史と、どこか「日本での資源管理は欧米に比べ遅れており、欧米の資源管理(基本的には「数量管理」によるもの)はとても優れている」とする、いわゆる「自虐史観」にも似た劣等感と欧米礼賛の入り混じった感情があり、それが広く世の中にまでまん延しているのが原因ではないかと考えています。
漁獲量が急減した
真の理由に迫る
あらためて我が国における漁業生産量の推移(図1-3)をみてみると、戦後、日本の外に漁場を求め拡大していった遠洋漁業やマイワシ資源を中心とした沖合漁業の生産増などに支えられ、1984年には1282万トンもの生産を上げた我が国漁業は、その後坂を転げるように生産量を減少させ、そのあともほぼ増加の兆しを見せることなく現在に至っています。
この日本の漁業生産量の推移を示した図は、まさに我が国水産業が、過去、栄光の時代を過ごし、そこから没落(?)していくさまを見事に視覚化しており、しかもこの図は、我が国小学校の社会科で誰もが目にする(現在も小学5年生の社会科で日本の水産業を習う際に使われています)、いわば水産業の「標準図表」ともいえるグラフですから、誰しもが、なぜこんなに日本の漁業が衰退したのか、何か策を講じればここから脱して再び過去の栄光を取り戻せるのではないか、と考えるのは当然と言えば当然のことです。
同書より転載 拡大画像表示







