しかし、日本の漁業生産量の減少――とくに1990年代(平成2~11年頃)に起きた急激な減少は、その原因が我が国漁業にあるのではなく、遠洋漁業が活躍してきた外国200海里水域の漁場を失ったことやピーク時は1種だけで現在の日本の海面漁獲量(2022年:289万トン)を5割も上回るマイワシの漁獲(1988年:448万トン)が消えてしまったことにあります。
なので、仮に我が国が再び「日本漁業の復活」を目指してなんらかの施策を展開するにしても、この過去の最高数量を目標にすることは、各国の200海里水域設定の契機となった、「国連海洋法条約」制定以前の世界に逆戻りなどできないことや、マイワシの大増加をもたらした海洋環境を人間の手で作り出すことが不可能であることからも、到底現実的な目標になるとはいえません。
ですから、いったんはこの“過去の栄光”を頭から忘れ去り、冷静に現状を分析する必要があります。
実は、本当の意味で日本の漁業をこの先もしっかり維持し継続させていくためには、この1990年代に起きた“急激な減少”に目を奪われることなく、むしろこの時期以降に続いている“漁獲量の緩やかな減少”が何によってもたらされたのかをしっかり分析する必要があります。
果たしてそれは冒頭の記事のように「漁業者による獲りすぎ」で起こったものなのでしょうか?
“獲りすぎ論”以前の問題として
漁業規模の全体的な縮小がある
図1-4に掲げた2枚のグラフを見てください。上のグラフが我が国漁業就業者数の推移を、下のグラフが我が国漁業生産量のうち大きな攪乱要因となるマイワシの漁獲量を除いたものの推移です。
同書より転載 拡大画像表示







