ともに1984年から2022年までの数値を追っていますが、例えば1984年に対する2022年の数値の比率は、漁業就業者数が28%(=12万3000人/43万9000人)、漁獲量が38%(=32万5000トン/86万4000トン)とほぼ同じような減少を示しており、年ごとの動きを見てもおおむね直線的な減少傾向は変わらず、きわめて近似した動きを見せています。

 この傾向は漁船隻数や漁業経営体数においてもほぼ同様で、このことから、我が国漁業の規模が全体として徐々に縮小し、それにつれて漁獲量も減少してきたことがよくわかります。

 図1-5は大型定置網漁業の1ケ統あたりの漁獲量の推移を追ったものです。

図1-5 大型定置網漁業の1ケ統あたり漁獲量の推移同書より転載 拡大画像表示

周辺の魚群の状況を示す漁法でも
漁獲量は約30年間安定していた

 ここで言う「1ケ統」とは、漁船や漁具を複数組み合わせて魚を獲る場合に、それら漁船や漁具の集合体を指す水産用語ですが、ご存じのとおり、定置網は海の中に漁網をさまざまに設置して、その網なりに魚が誘導されることで魚を獲る漁法で、最後に函網という魚だまりに魚が誘導され水揚げされますが、このようなさまざまな網のワンセットを「1ケ統」という表現で表しています。

 とくに重要なのは、この漁法は底曳網漁業などのように漁具を移動させて獲る能動的な漁法ではないので、魚が少ないときには少ないなりに、魚が多いときには多いなりに漁獲され、周辺の魚群の状況を素直に示す漁法だと言われています。

 ですので、全国にある大型定置網漁業の全漁獲量を1ケ統あたりに割り戻して計算すると(このような単位漁具あたりの漁獲量のことを水産用語でCPUE:catch per unit effortといいます)、ほぼ全国ベースでの資源の状態を大まかに表すことができますが、このデータを見ても、2018年までのほぼ30年間、変動はあるものの比較的安定して推移しています。

※ここでのデータは2018年までですが、これはこの年を境に大型定置網漁業の統数が公表されていないためで、おそらく近年は海洋環境の変化(温暖化)を反映して少なからず減少傾向が見られると思うのですが、こういった漁業や資源の状況を分析するための統計数値が、行政組織の合理化の影響を受け、公表されずにいることは残念でなりません。