「資源管理上ゆゆしき問題だ」
厳しい意見が水産庁に寄せられた
さらにみていただきたいのが図1-6です。これは我が国でTAC(Total Allowable Catch:総漁獲可能量)による数量管理を行ってきた主要魚種のTAC数量と漁獲実績の推移を示したグラフです。
同書より転載 拡大画像表示
これをみると、2005年から2009年頃にかけては、サバ類やマイワシ、スケソウダラ太平洋系群などでTAC数量を上回る漁獲があり、当時は、このことをめぐって「資源管理上ゆゆしき問題だ」、「漁業者には資源管理をする意思がないのではないか」など、資源管理を主導する水産庁に対しても非常に厳しい意見が寄せられ、ちょうどその頃、水産庁で資源管理推進室長という役職に就いていた私も、漁業者と世間の批判の板挟みになり大変な思いをしたのですが、この図で大事なのは、その時期以降のTAC数量と漁獲実績のギャップについてです。
これを見ると、ほとんどの魚種でTAC数量までの漁獲ができておらず、せいぜい、スルメイカが資源の悪化によりTACと漁獲量とのギャップが見かけ上縮んでいるように見えるほかは、軒並みTAC数量の消化ができていません。
その消化率(漁獲量/TAC数量)を計算してみると、例えばサバ類では2022年でTAC数量の42%、スケソウダラ太平洋系群では46%、マアジでも62%など、定められたTACの半分も獲れていないのが大半なのです(なお、サンマは近年のTAC数量が科学的計算によって算出されたものではないので、ここでは消化率を計算していません)。
TACはいわゆる「資源の管理者」たる日本国政府から「漁獲してよい」とお墨付きをもらっている数量であり、ここまでなら「漁獲を行っても、資源は想定されたシナリオの範囲内で動く」とする数量のはずですが、近年は漁獲がその数量にまったく追いつかない状態が続いているのです。







