子育て世帯は給付も増えますが、同時に負担も増えます。また、これから婚活・結婚しようとしている独身者たちは、自分たちに対する支援は全くないのに、負担だけが増加します。
さらに、少子化対策の費用負担を、医療保険から徴収しようとしていること自体が大問題です。これは、医療保険料の「目的外の流用」と呼ぶべき行為です。
社会保険とは、医療保険なら医療費、介護保険なら介護費と、支出目的を厳格に定め、その目的に対する対価を保険料として、加入者の同意と納得の下に徴収する仕組みです。そもそも目的外の流用は想定されていませんが、もし、保険者が目的との関係性が薄い支出や無駄な支出を行おうとすれば、当然ながら保険料がその分上昇し、加入者たちが反発することになります。
保険者は加入者たちの反発を恐れて、極力無駄を排そうと努力をするのです。このように、支出と負担の間に常にチェック機能が働いて均衡し、財政規律が働いているところが、社会保険という仕組みの要と言えます。
今回のように、保険者にも加入者にも関わりのない外からの力(国の力)で、目的外の流用が勝手に行われるのであれば、保険者による財政健全化の努力が意味をなさなくなります。このような行き当たりばったりの政策が行われるようでは、社会保険を成り立たせる根本的な仕組み、保険者のガバナンス機能が崩壊する恐れがあります。社会保険の保険料は、何に使っても良い税財源とは異なることを肝に銘ずるべきです。
児童手当や育休給付よりも
改革すべきものは...?
本来、どのような少子化対策を行うべきなのでしょうか。まず、女性のキャリア中断の機会費用の高さを考えると、これを児童手当や育休給付などの給付拡大で補うことは不可能と考えるべきです。それよりも、女性が子どもを産んでも就業が継続でき、機会費用を払わずに済むための施策を考える方が建設的でしょう。







