このような好調、つまり脳が整っているときとは、DMNの指示によって、必要な脳内物質が臨機応変に切り替わっており、最高のパフォーマンスを発揮してくれている状態です。

 逆に、

「1日中がんばっているのに、仕事が進んでいない」

「今週は、どうもすべてが空回りしている」

 など、仕事の能率が極端に悪いと感じるときは、あなたの脳の中のDMNが疲れている状態だと言えます。

 指揮者に元気がなければ、脳内物質のバランスは簡単に崩れてしまい、あなたの脳は不協和音を奏でてしまうのです。

脳の「ぼんやりタイム」は
ムダじゃなかった!?

 では、この脳の「指揮者」であるDMNとは一体なんなのでしょうか?

 そして、それはどのような状況で活発に働くのでしょう?

 つい最近まで、私たちが何もしないとき、脳は休息していると考えられてきました。体を動かしたり、何かの課題に取り組んだりしているときに脳は活発に働く一方で、ぼんやりしているときは活動を停止しているとみなされてきたのです。

 この「旧来の常識」に囚われていたため、人間の最高司令塔とも言えるDMNの発見は、大きく遅れることになりました。

 DMNを発見したのは、ワシントン大学のマーカス・E・レイクル博士です。

 ある日、博士は脳機能を分析するfMRI(機能的MRI)に映し出される被験者の脳画像を見ていたときに、不思議な反応を示す神経ネットワークを発見しました。被験者が何もしないで「ぼんやり」しているときに活動が高まり、何かの課題に取り組んだ途端、活動を停止する特殊な脳領域があったのです。

 レイクル博士は、この神経ネットワークを「デフォルト・モード・ネットワーク」(DMN)と名づけました。

 デフォルトとはご存じの通り、「標準システム」のこと。つまり、DMNは「特別な行動をしていないときに働く、あらかじめ備えられた脳の標準システム」ということです。この発見は、人間の自我や意識の根源に迫る、画期的なものとなりました。