クライアントが「本来は知るべきであるが、まだ知らない情報」、つまりは差別化された新情報を作り出すことがコンサルタントの果たすべき役目だ。

 生成AIの登場は、この流れをさらに加速させている。財務データや市場の動向といったファクト(事実)を要約したところで、「レポートを買って内容をまとめるだけなら我々でもできる」と返される。

「調査してわかったことを整理する」という作業は、これからニーズとして消えていくことだろう。そこに仕事の満足感を持ってはいけない。

AI時代のコンサルタントに
試されているのは「探究心」

 コンサルタントとして価値を生み出せるかどうかは、「与えられたもの」から「与えられていないもの」を導き出せるか、言い換えれば、ファクトから考えを深めクライアントにとってユニークな「示唆」を取り出せるか、ということにかかっている。

 これこそが、AI時代にもコンサルタントが必要とされる意義を支える核心だ。そこでは、価値ある示唆を執拗なまでに追い求める探求心(Inquisitive mind)が試されている。

 新しく家を建てようと建築家に相談したとき、こちらのライフスタイルや要望も聞かず、出来合いのテンプレプランを提示されたらどう思うだろうか。「これだったら建て売りと変わらない。私の暮らしに合ったオリジナルを提案してほしい」とモヤモヤすることだろう。

 僕らが建築家に求めるのはどこかで見たようなカタログ通りの家ではなく、今、ここにいる家族の個性や願いを形にした提案、いわば「我が家だけの固有解」だ。

 コンサルティングの現場でも、同じ落とし穴がひそんでいる。クライアントに対して教科書やビジネス書に書いてある一般論をそのまま伝えても、「それってただの教科書の内容ですよね」と言われるだけだ。一般論の再放送をしたところで、むしろ「コンサルを雇う意味があるのか」と捉えられてしまう。

 さらにコンサルタントとして噛みしめておくべきは、生成AIという名の“代替品の脅威”だ。