笑顔で腕を振る女性写真はイメージです Photo:PIXTA

企業が抱える課題の解決や目標達成を最短で導くコンサルタントには、すべての仕事に“速さ”が求められる。もちろんコンサルタントに限らず、どんな仕事でもスピード感を持って行えれば強い武器となる。しかし新卒社員の多くが、そもそもなぜ速さが求められるのか、どうすれば速さを獲得できるのか、手探り状態で業務に向き合っているケースが大半だろう。新人時代から速さを求められてきた現役コンサルタントのメン獄氏が、自身の失敗と経験から得た“仕事の速度を上げる方法”を解説する。本稿は、メン獄『コンサルティング会社完全サバイバルマニュアル』(文藝春秋社)の一部を抜粋・編集したものです。

作業前に定めるべき
5つの段取り

 とにかく速く仕事を終わらせる、という精神論だけでは仕事は速くならない。

 上司から仕事の依頼があった時、闇雲に作業をはじめてしまうと必ずと言っていいほど失敗するだろう。初回の報告で一所懸命作った資料を持っていっても、上司から返ってくる言葉は「この作業っていつ終わるの?」「終わるイメージついている?」というものになる可能性が高い。

 本来は上司が仕事を依頼する時に細かく指示を出すのが望ましいが、非常に多忙ゆえ、アバウトな指示になりがちだ。上司からの指示に対して、以下の5つのチェック項目に沿って、「この仕事の完成形はこういう感じ」という自分なりのイメージを作ろう。

1 その仕事の目的はなんなのか?

 その仕事を終えることで、上司は何が達成できるのか。作ろうとしている資料はどういう用途で誰が読むものなのか。

2 仕事のインプットとアウトプットは明確か?

 作ろうとしているアウトプットに対して、インプットはどれを使えば良いのか。自分でインプットから探さなければいけないのか、それとももう既に上司の手元にはインプットがあるのか。また、アウトプットはどのようなファイル形式で作れば良いのか。そのアウトプットで結論として誰に何が言えれば良いのか。

3 作業手順は明確か?

 インプットをアウトプットに変換する工程の中で、自分が頭を使うポイントはどこなのか。その作業手順のイメージはついているか。

 Excelだけで完結する作業なのか。Excelだけですむならどういう関数を使うのか、それともピボットテーブル機能を使うのか。自分だけでできない作業なら、誰の助力がどの程度必要か。その助力を得るための依頼は誰から誰に行うのか。

4 提出前に誰の確認が必要な仕事なのか?

 上司の他、同僚の誰に確認を取っておけば良い仕事なのか。同僚には何を確認してもらう必要があるのか。

5 タイムラインと優先順位は明確か?

 いつまでにどういう状態になっていれば良い仕事なのか。他の仕事との優先順位はどうなっているか。

仕事の“速さ”を生み出す3つの要素図:『コンサルティング会社完全サバイバルマニュアル』(文藝春秋社)より 拡大画像表示

 年中スピードを出しすぎて、体を壊してしまっては元も子もない。「加速状態を持続可能な状態で維持する」という絶妙なコントロールが求められるのがコンサルタントの辛いところだが、そこで覚えておきたいのが“期待値調整”テクニックだ。