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企業が抱える課題の解決や目標達成を最短で導くコンサルタントには、すべての仕事に“速さ”が求められる。もちろんコンサルタントに限らず、どんな仕事でもスピード感を持って行えれば強い武器となる。しかし新卒社員の多くが、そもそもなぜ速さが求められるのか、どうすれば速さを獲得できるのか、手探り状態で業務に向き合っているケースが大半だろう。新人時代から速さを求められてきた現役コンサルタントのメン獄氏が、自身の失敗と経験から得た“仕事の速度を上げる方法”を解説する。本稿は、メン獄『コンサルティング会社完全サバイバルマニュアル』(文藝春秋社)の一部を抜粋・編集したものです。
作業前に定めるべき
5つの段取り
とにかく速く仕事を終わらせる、という精神論だけでは仕事は速くならない。
上司から仕事の依頼があった時、闇雲に作業をはじめてしまうと必ずと言っていいほど失敗するだろう。初回の報告で一所懸命作った資料を持っていっても、上司から返ってくる言葉は「この作業っていつ終わるの?」「終わるイメージついている?」というものになる可能性が高い。
本来は上司が仕事を依頼する時に細かく指示を出すのが望ましいが、非常に多忙ゆえ、アバウトな指示になりがちだ。上司からの指示に対して、以下の5つのチェック項目に沿って、「この仕事の完成形はこういう感じ」という自分なりのイメージを作ろう。
1 その仕事の目的はなんなのか?
その仕事を終えることで、上司は何が達成できるのか。作ろうとしている資料はどういう用途で誰が読むものなのか。
2 仕事のインプットとアウトプットは明確か?
作ろうとしているアウトプットに対して、インプットはどれを使えば良いのか。自分でインプットから探さなければいけないのか、それとももう既に上司の手元にはインプットがあるのか。また、アウトプットはどのようなファイル形式で作れば良いのか。そのアウトプットで結論として誰に何が言えれば良いのか。
3 作業手順は明確か?
インプットをアウトプットに変換する工程の中で、自分が頭を使うポイントはどこなのか。その作業手順のイメージはついているか。
Excelだけで完結する作業なのか。Excelだけですむならどういう関数を使うのか、それともピボットテーブル機能を使うのか。自分だけでできない作業なら、誰の助力がどの程度必要か。その助力を得るための依頼は誰から誰に行うのか。
4 提出前に誰の確認が必要な仕事なのか?
上司の他、同僚の誰に確認を取っておけば良い仕事なのか。同僚には何を確認してもらう必要があるのか。
5 タイムラインと優先順位は明確か?
いつまでにどういう状態になっていれば良い仕事なのか。他の仕事との優先順位はどうなっているか。
図:『コンサルティング会社完全サバイバルマニュアル』(文藝春秋社)より 拡大画像表示
年中スピードを出しすぎて、体を壊してしまっては元も子もない。「加速状態を持続可能な状態で維持する」という絶妙なコントロールが求められるのがコンサルタントの辛いところだが、そこで覚えておきたいのが“期待値調整”テクニックだ。
相手の期待値を調整し
速さを演出
例えば同じ仕事を同じだけの時間で完了することができるA君とB君がいるとする。A君は本来翌日の17時までに完了すれば良い仕事を引き受けた際、本日中に終わらせます!と力強く宣言し、結果として翌日の17時に提出することになった。一方B君は、明日の18時までいただければ終わらせることができるかもしれません、と控えめに宣言した上で、結果として翌日の17時に提出したとする。
この時、2人は同じ仕事を同じ時間に終わらせているにもかかわらず、周囲にいる人間からはA君は自分で定めた締切りを守れなかったルーズな人、そしてB君はしっかりと締切りに合わせて仕事ができる人という評価になる。
A君とB君の明暗を分けたのは、B君の自分の作業に対する見積りの正確さと期待値調整の巧みさだ。A君はそこを見誤ったため、必要のない「遅延」を自ら招いている。
私も過去、クライアントが3日後に出てくれば嬉しい、といった仕事を「今日中に提出します!」などと期限を切ってしまい、結果として終わらないことが多々あった。その都度先輩たちから「もっと保守的な期限を言っておけばいいだろ!3日後って言っておいて、2日後に出せば十分喜ぶじゃん!」と怒られたものだ。
はじめのうちは一つの作業を開始する時に、時間を予測した上で、ストップウォッチで計測するのが良い。おそらく予測時間をオーバーするだろうが、どの手順や予定外の要素がネックになったかを振り返ることが大切だ。
私はアナリスト時代によく議事録を作る仕事を頼まれていた。議事録は通常、1時間の会議であれば1時間で作成することが理想だが、実際に書いてみるとなかなかそうはいかない。出席者全員の名前をメモし損ねていて関係者に確認を取らなければならなかったり、出席者の発言の背景を確認したりと、思った以上に時間がかかるものだ。
また、作業途中で同僚に声をかけられたり緊急のメールに返信をしたり等、“差し込み”が入ると集中力が途切れてしまう。現実的にこうした中断は頻繁に発生するし、そのような想定外の出来事への対応を含めた上で、どの程度の時間があれば一つの仕事を終わらせることができるのか、感覚を研ぎ澄ますことが大切だ。
予定外の手順を一つずつ予測時間に組み込んでいくことで作業見積りの精度は向上し、上司やクライアントからの「なぜそんなに時間がかかるのか?」という質問に対しても、明確に切り返せるようになる。正しい作業見積りを立てられず、いつまでに仕事が終わるのか明確にできない社会人は、いつまで経っても仕事を任せてもらうことはできないだろう。







