必要なのは自分自身の評価基準、いわば優れたアウトプットを見抜く「鑑識眼」を磨くことにある。

 そうした「眼」を磨くには、優れたもの・そうではないものに数多く触れ、自分の感性によって「よし悪し」を判断する経験を大量に積むことがカギだ。トップコンサルタントが作ったシャープな資料や、歴戦のコンサルタントが書いた書籍を読み、「これはどこがすごいのか」「なぜわかりやすいのか」を、考察し、言語化してみる。

 逆に、イマイチに思えたものは「これはつまらないな」「ここがよくないな」というツッコミも心の中で加えてみる。さらに、「なぜつまらないのか」「どうすればよくなるか」を具体的に考えてみる。このようにして自分の感性を何度も働かせて鍛えることで、セルフレビューの眼は確実に磨かれる。

「用・強・美」の視点で
セルフレビュー力を高める

 このとき、レビューの「視点」として役立つのが、紀元前ローマの建築家ウィトルウィウスが唱えた「用・強・美」というものだ。もともとは建築物の本質を捉えたものだが、コンサルタントが作る提案資料などの「知的建築物」のレビューにも使える。

「用」

・そのアウトプットはクライアントにとって役に立つか?

・結論を導くだけでなく、独自の示唆を含んでいるか?

・クライアントに「この提案で動ける」と思ってもらえる具体性が備わっているか?

「強」

・組み上げたロジックは、事実やデータなど、複数の視点でしっかり支えられているか?

・クライアント内の担当者から経営層まで、どの視点で問われても耐えられる作りになっているか?

・事業環境が変化しても対応できる柔軟性を持っているか?

「美」

・読み手にとって「流れるように理解しやすい」形になっているか?

・余計な情報やノイズが混ざって内容がごちゃついていないか?

・結論までのストーリーがシンプルでわかりやすく、すっと飲み込みやすいか?

「用・強・美」に対する自分なりの感覚を磨き、よし悪しを見極める「鑑識眼」を養うことは、これから君がマネジメントする立場になってメンバーの資料をレビューするときにも、AIが出すアウトプットを判断するためにも、欠かせないものになるだろう。