住宅金融支援機構が公開している2024年度 フラット35利用者調査によると、2014年度の60代以上の利用率は全体の8.0%でしたが、2024年には14.3%と上昇しており、利用者の高齢化が進行しています。

 そこで、60代以降に返済に悩んだ際の対処法について、ポセイドン法律会計事務所の尾倉隆景弁護士に、60代以降の住宅ローン返済に関する注意点を聞きました。

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――もしも60代以降に住宅ローンの返済に困ったらどうすればよいでしょうか。

尾倉隆景弁護士:高齢社会が進む日本で、池野さんのように退職後に住宅ローンの返済に行き詰まる方は珍しくありません。60代以降、特に定年退職後や年金生活に移行した高齢者にとって、月々の住宅ローン返済は若い時に想定していた以上に家計を圧迫します。

 また、変動金利の上昇や医療・介護費の増加も追い打ちをかける可能性があります。高齢者が返済困難になった場合、住宅ローンを滞納してしまう前に早急な対応が最も重要です。滞納が数カ月続くと督促が厳しくなり、競売(強制売却)や自己破産のリスクが高まるため、返済が厳しくなりそうだと感じたら次の四つのステップを検討してみてください。

【住宅ローン破産を防ぐ4つのステップ】
1.現状の把握:支払い計画の確認、住宅価値の査定を行う
2.金融機関への相談:期間延長を交渉する(リスケジュール)
3.専門家へ相談:滞納する前に弁護士に早期に相談する
4.生活再建策を検討:任意売却や個人再生などを検討する
38歳・借入額3000万円→61歳でまさかの転落…平凡なサラリーマンがハマった「住宅ローン」のおそろしい罠尾倉隆景(おぐら・りゅうけい) 弁護士。ポセイドン法律会計事務所代表。神戸市を拠点に、企業法務、契約交渉、事業承継、相続、家事事件など、企業・個人を問わず幅広く扱う。地域企業の発展と持続可能な経営の実現に寄与できるよう、日々の実務を通じて取り組んでいる。

――老後に至ってから住宅ローンの返済に悩まされないようにするためには、どんな備えが必要でしょうか。

尾倉弁護士:老後の資金計画は「入ってくるお金」が限られるため、ビジネスパーソン時代以上にシビアな現状把握と早めの決断が鍵となります。退職金で住宅ローンを一括完済する方法も考えられますが、手元の現金がなくなると、急な医療費などに対応できなくなるおそれもあります。

 まずは落ち着いて、50歳頃から「ローン残高」と「物件の査定額」を確認するようにしましょう。退職後の残債を減らしておくために現役時代から繰り上げ返済を行うこともおすすめです。

 また、退職後に「生活が苦しいかも」と思ったら、リバースモーゲージ(※1)やリースバックといった方法もあります。しかし、リバースモーゲージは金利上昇でかえって返済額が増えるリスクや、不動産価値の下落により融資限度額が下がり、解決策とならない懸念があります。

 リースバック(※2)は売却価格が市場相場より安くなりやすく、残債との関係で手出しが必要な可能性もありますし、結果として支払う賃料が周辺相場より高額になる懸念があります。

 どちらも住み慣れた住宅に「住み続けられる」半面、長期的なコスト負担が重くなる点に注意が必要です。

(※1)リバースモーゲージとは:自宅を担保に金融機関から融資を受け、契約者の死亡時または契約終了時に自宅を売却して返済する方法

(※2)リースバックとは:自宅を不動産会社に売却し、売却後は賃貸として住み続ける方法

※プライバシー保護のため、登場人物に関する情報の一部を変更しています。

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