高市「骨太方針2026」が対処すべき経済財政運営の“トリレンマ”脱出の方法、成長戦略の優先順位をPhoto:JIJI

「骨太2026」の議論、本格化
成長戦略、選挙公約優先で財政再建後回しの懸念

 高市政権の今年度の経済財政運営の基本となる「骨太方針2026」の策定を巡る議論が、6月に本格化する。

 高市首相は「強い国 強い経済」を掲げ、「危機管理・成長投資」「官民連携の投資」をキーワードに「17の戦略分野」に積極的に財政支出を行う成長戦略を経済財政運営の最優先課題に掲げ、「日本成長戦略会議」を設置して議論を進めている。

 国際競争力の低下や人口減少などで日本経済がかつてのような勢いをなくしている一方で、中国の海洋膨張やロシアのウクライナ侵略、米国・イスラエルによるイラン攻撃など国際情勢が厳しさを増す現状を念頭に置けば、防衛費増額を含め、その基本的な方向性は納得できるものだ。

 しかし、成長戦略は経済財政運営全体の重要だが、一つのパーツに過ぎない。それに加え、社会保障などによる国民の生活保障と財政健全化を合わせた3本柱が相まってはじめて、持続可能な経済社会が構築される。

 この点で現在の日本の政策運営は、成長戦略、社会保障、財政再建の同時実現が困難な「経済財政のトリレンマ」というべき状況だ。

 だが、現時点で高市政権の政策スタンスは、成長戦略を最優先に位置付け、選挙での有権者の支持を考えると無視できない社会保障を次に優先し、結果として財政再建を後回しにしていると言える。

 その姿勢が最も垣間見えるのは、社会保障国民会議で、「給付付き税額控除」導入と、物価対策として掲げた「食料品の消費税率ゼロ」実施の議論が同時並行的に進められていることだ。

 後者に関しては、経済学者には反対論が多く、実務家からも問題が多く指摘されているが、先の衆院選での公約違反となることを気にすれば、政権としてはこだわらざるを得ないという事情がある。

 だが実際に減税を実施するとなれば年間約5兆円の代替財源を確保する必要があるが、それを見つけるのは容易でなく、結局は財政再建を犠牲にせざるを得ないという状況に陥っている。

 経済財政政策のトリレンマに、どう対処すればいいのか。

 歯切れが悪いかかもしれないが、成長戦略・社会保障・財政再建のバランスをとって三兎を追う「メリハリをつけた中庸路線」を歩むべし、というのが筆者の考えだ。