まず背景には、世界的にEVの普及が鈍化したことが挙げられる。特に米国のトランプ政権による環境政策の変更が、北米市場におけるEVへの逆風をさらに強めた。これが大きな痛手となり、米ゼネラル・モーターズ(GM)とのEV・FCVの協業も断念した。
しかしEVが普及する中国でも、現地メーカーはおろか他の日系メーカーにも負けている。ホンダの中国における新車販売(25年)は64万台(前年比24%減)で、ピーク時の4割ほどに落ち込んでいる。
この点についてはホンダも認め、「新興ライバルと比べてバリューフォーマネーのある製品を提供できず、競争力の低下を招いた」「変化に柔軟に対応できなかった」と反省の言葉を述べている。なお、ASEAN地域についても似た状況に陥っている。
最終赤字の直接的な原因は、こうした状況を踏まえた開発・生産中止に伴う有形・無形資産を減損処理するためだ。損失の総額は、現時点で最大2兆5000億円。このうち1兆3000億円の損失を今期の見通しに追加計上する。
つまり今期に続き来期(27年3月期)も最大1兆2000億円の損失を計上する見込みであり、極めて異例の事態といえる。
ただし兆候はあった。第3四半期(4~12月)決算の発表時点(2月)で、四輪事業の営業損益が1664億円の赤字となったことだ。
「明らかにEV市場が鈍化している。電動化戦略の見直しを急ぐ」「電動化戦略は、白紙に戻して大きく舵を切る必要がある」とこの決算で貝原典也・ホンダ副社長は語っていた。今思えば、この言葉は対外的な“前振り”だったといえるだろう。
米国や欧州各国でEV政策の修正が進んでいたことは明らかだった。この期は、EVに関連する一過性の費用として営業利益ベースで2671億円のマイナス影響を計上した。北米でGMと共同開発したEVを24年に発売したが振るわず、この減損損失も計上した。
一方でこの期は、二輪事業の営業利益が5465億円と過去最高を記録した。好調な二輪が、不振の四輪を支えることで、ホンダ全体の26年3月期見通しは純利益3000億円を据え置いたのだ。
三部体制は5年を経過した。四輪車事業をどのように立て直していく気なのか。







