とはいえ、スキマバイトの運営会社が持ってくる案件以外にも、この社会にはあちこちで確実に「ありふれた仕事の代行」に関するニーズは存在します。

 だとすれば仕事や勉強の経験で得た「ありふれたスキル」でライフスタイル起業をする第一歩は、自分のスキルに「値段」を付ける=価格の自己決定権を手の内に収め、少しでも良いので仕事を取ってくることにあると考えられます。

「誰でもできる作業」で
事業を拡大する家事代行会社

 しかしながら、価格の自己決定権を手の内に収めると言っても、「ありふれたスキル」には市場価値がないし、そもそもニーズがない=仕事が受けられないと腰が引けてしまうかもしれません。

 そこで、「誰でも可能な作業」であっても価格付けによってニーズを掘り起こし「稼ぎ」になり得る実例を、株式会社御用聞き(注1)の事例から考えていきたいと思います。

 2010年に創業した、5分100円からの家事代行サービスを、高齢者を中心に提供している企業です。創業当初は、独居老人が集住する高島平団地で事業を始めましたが、現在は愛知県、大阪府にも拠点を設けて全国でガス・水道・電気・通信に次ぐ第5のインフラを目指して事業の拡大を続けています。

 この株式会社御用聞きが手掛ける5分100円からの家事代行サービスは、「インターホンの電池の入れ替え」、「郵便物の回収」、「炊事場の洗い物」、「買い物の付き添い」といった、特別なスキルや資格を必要としない作業をターゲットにしています。

「幼稚園児でもできそうな作業を、わざわざお金を支払ってまで依頼する人がいるのか?」と疑問に思われる方も多いと思います。確かに、御用聞きが提供しているのは誰にでもできる作業ではありますが、高齢者にとっては体調や体力の面で時には困難なものです。業者に依頼しようにも、家事代行を雇ったり、清掃業者に依頼するレベルでもないこのような「ちょっとした困りごと」は、頼ることができる家族や知人がいない独居老人にとって頭を悩ませる問題になっているのです。

 そこで株式会社御用聞きは有償ボランティアを中心にそのようなご老人が住む住宅を巡回し、困りごとをヒアリングする「御用聞き」をしていくなかで、5分100円で引き受ける「仕事」を発生させています。

(注1)株式会社御用聞きホームページ(https://www.goyo-kiki.com/)、5月4日確認。