MBAプログラムは、さまざまな業界や国からの学生が集まり、異業種からの新しい知識や国際的な視点を学ぶ豊富な機会を提供しています。MBAのクラスメートや卒業生とのネットワークは、将来のビジネスパートナーや顧客の獲得、雇用の機会へとつながります。

 アメリカ第43代大統領ジョージ・W・ブッシュといった政治家やGoogle(Alphabet)CIOルース・ポラットや『LEAN IN』著者で元Facebook(現Meta)COOシェリル・サンドバーグなど海外の起業家もMBA保持者です。

 特にキャリアチェンジや起業時には、これが非常に価値あるリソースとなります。私も卒業後、起業や相続の助言を求められたり、共著で本を出版するなどの縁が生まれました。

 私たちは、A→Bという直線的な結果を求めるのではなく、長期的な視野を持つことが重要です。

 たとえば、「MBAに行く→給料が上がる」や「MBAに行く→人脈ができる」といった短期的な期待をしていませんか。

 しかし、自分に提供できる土台がなければ、MBAでの学びを最大化することはできません。MBAの学びは、長い年月を経て、複利のように効果を発揮していくのです。

言語の壁や未知のプレッシャーを
乗り越えて得られる「忍耐力」

 そして、もうひとつの側面がストレス耐性を養う機会を提供してくれることです。

 私は47歳から49歳の間に働きながらオーストラリアのビジネススクールで、現地受講に加えオンライン受講でMBAを取得しました。

 大手証券会社の海外子会社社長や金融機関での役員などグローバルなキャリアを経て起業されたお客様(ご自身はウォートンMBAを卒業しています)は、私が「海外の経営大学院を卒業しました」と告げると、「耐性を養う良い経験をされましたね」とおっしゃいました。

 私は、グローバルなキャリアの構築を評価する言葉を期待していたのですが、まったく違っていたのです。

 このときのお客様の言葉で、MBAの学びがキャリアの発展やネットワークの構築だけでなく、未知の状況やプレッシャーに対処する強靭な心を育てる場でもあったと気づかされました。

 社会人経験がある学生は、すでに仕事を通じ、耐性マネジメントを経験している場合も多いですが、カリキュラムと多忙なスケジュールを通じて、「タイムマネジメント」や「チームワーク」の重要性を学びます。

 その中でクラスメートに認められ、高得点の課題を提出していかなければなりません。企業派遣の場合は、企業が費用を負担しているため成績を報告する重圧もあるでしょう。

 将来のビジネスリーダーとしての能力を身につけるだけでなく、生きていく上で必要不可欠な精神的な強さや事業のさまざまな困難に立ち向かう力を養うことができるのです。

 慣れない土地で多国籍な仲間とグループで成果を上げることや、限られた時間で大量の課題を仕上げるタイムマネジメントは、仕事にも通じる大切なスキルです。

 また、語学のハンディを抱える日本人は、時に一緒のグループになることを敬遠されるかもしれませんが、それもまた、人とのつながりや生存戦略を学ぶ良い機会です。

 スティーブ・ジョブズは「成功する起業家とそうでない起業家を分けるものは何か?」との問いに対し「その約半分は真の忍耐力を持っているかどうかである」との言葉を残しています。

 将来起業する場合や、会社で新規プロジェクトを牽引する場面も想定内にうまくいくことはまれです。

 ストレス耐性とは、レジリエンスであり、適応する力や必要に応じて方向転換する力、そして道が不明確で障害が多いときであっても前進し続ける力なのだと思います。