財務省の発表によれば、2023年度の日本企業の内部留保は600兆9857億円と過去最高を更新し、2011年度の実に倍以上に膨れ上がりました。
つまり、多くの企業が稼いだ利益をひたすら貯め込んでいるのです。
これでは経済が活気づくはずもなく、給料が上がるはずもありません。
内部留保が膨らむというのは、人件費も下請けに払う金も新規事業への投資などの開発費もケチっているということです。従業員に気前よく給料を払うことをせず、下請けを叩き、研究開発費を削る――こうした経営者のケチな姿勢の積み重ねが日本の国力をどんどん弱らせ、それが今の円安ももたらしているのです。
そもそも資本主義というのは、本来「お金が循環していくことで発展していく」仕組みです。どれだけ市場にお金があってもそのお金が使われなければ、経済は動きません。
労働組合は経営者に対して
もっと貪欲に声をあげるべき
大企業や一部の金持ちが貯め込むばかりなら、いっそ社会主義になるほうが、幸せになる人の数は多いのではないかとさえ私は思います。
お金を稼ぐこと自体は決して悪いことではありません。問題は、稼いだお金を社会に還元しないことです。
つまり、お金を持つ側がその責任を果たしていないせいで、日本経済は循環しなくなってしまった。だから日本経済はずっと低迷したままなのです。
もう1つ言わせていただくのなら、本来「労働者の味方」であるはずの労働組合が必要な機能を果たしていないことも、大きな問題だと私は思っています。
もう30年も給料がほとんど上がっていないというのに、ストライキ一つ起こさない。毎年満額回答だということになっているようですが、そもそもの要求額が低すぎるから満額になるだけの話であって、月に5万円とか10%上げろと言えば、絶対に満額回答にはならないはずです。
『「高齢者ぎらい」という病』(和田秀樹、扶桑社)
資本主義の健全なバランスは、闘う経営者と闘う労働者のせめぎ合いの中に生まれるのですから、ケチな経営者に対して、組合はもっと貪欲に声をあげるべきです。おとなしく上の言うことを聞いているだけでは、この先も給料が上がることは期待できません。その不満の矛先を高齢者に向けているだけではなにも変わらないのです。
確かに岸田文雄政権下以降、「賃上げを行った企業に対する法人税・所得税の税額控除(いわゆる賃上げ促進税制)」が導入されており、賃上げを実施すれば、その増加分の一部が税額控除として認められるようになっています。
ただ、これは「賃上げをすれば多少は得をする」というレベルのインセンティブであり、言ってみれば「やらないよりはマシ」程度の話です。だからこそ、企業全体で賃上げが大きく進むようなことにはなっていないのです。
でも、「法人税を大幅に引き上げる、ただし人件費に充てたぶんは1.2倍換算で経費として認める」くらいの制度になれば、賃上げしなければ大きく損をするわけですから、余計な税金を払いたくない企業は自然と賃上げに動くはずです。
大企業や一部の金持ちが貯め込んでしまうせいで、お金が循環せず、経済が低迷しているのは明らかなのですから、今こそそのような「貯め込めば損をする」「使えば大きく得をする」という「仕組み」づくり、つまり、確実に行動変容を起こせる実効性の高い税制改革が必要なのです。







