スシローが業界ナンバー1に君臨しながら
成長を続けている理由とは?

 ここまでスシローのDXをSPCの観点から見てきましたが、

「競合も同じようにDXを進めているのではないか」と感じた方も多いでしょう。

 事実、くら寿司もはま寿司も、タッチパネルやセルフレジ、オペレーションの標準化など、DXを積極的に進めています。

 しかし、同じDXに取り組んでいたとしても、冒頭で述べた通り、現状の業績には差が出ています。

 例えば、スシローは、23年9月期から25年9月期までの2年間で売り上げが約31.7%増加、営業利益は約2.3倍(約130%増)に増加しています。

 くら寿司が、23年10月期と25年10月期を比較して、売り上げが約15.9%増加、営業利益は約31%増であることに比べると、大きく業績を伸ばしていることがわかります(はま寿司は、セグメント区分変更があり、22年度との厳密な連続比較ができないため割愛しますが、直近1年で売り上げは約26%増、営業利益は約87%増でした)。

 スシローが際立つのは、業界最大級の規模を持ちながら、なお営業利益を大きく拡大している点です。

 ここで鍵になるのが、「顧客ニーズ」と「ウォンツ」の捉え方です。

競合との勝負を分けたのは
「顧客ニーズ」と「ウォンツ」の捉え方

 顧客ニーズとは、顧客が満たされておらず、必要性を感じている状態のことをいいます。一方で、ウォンツとは、具体的な商品やサービスへの欲求です。

 では、顧客はどのような理由で回転寿司を選ぶのでしょうか。

 まず思い浮かぶのは、おいしいネタ、接客などのサービスの質の高さ、コスパといった要素ではないでしょうか。

 しかし、これらはあくまで「回転寿司に行こう」と決めた後の比較軸であり、顧客の“ウォンツ(欲しいもの)”に近いものです。