しかし、じつはそれこそ、私たちが真に試されている場面なのだ。

・どんな価値観で動いているのかな
・この人の話は、どれほど信憑性があるのかな
・好き嫌いは強いのかな
・学や教養はどの程度かな

 そこでは、ごまかしがいっさい通用しない。しかも、その評価の内容は、多くの場合教えてもらえない。

 当然だ。相手への評価など、開示しないほうがいいに決まっている。だから、怖い。

「安達さんの話、面白いね」と面と向かって経営者に言われたら、それは喜ぶべきシーンではない。むしろ、褒められたことで恐怖に震えるべきである。

上司からの率直な指摘は
自分の「聞く力」が上がった裏返し

 では、コミュニケーションお化け同士の会話はどうなるのか?

 これは、とても意外だが、「化かし合い」かと思いきや、「本音がぶつかり合う場」になりやすい。コミュニケーションお化けたちは、最初の10分くらいの会話で、相手がコミュニケーションお化けかどうかを判断できる。

 そして、「相手がコミュニケーションお化けだ」とわかると、「小細工はやめて、単刀直入にいっても大丈夫そうだ」と判断するのだ。そのため、できるコンサルタント同士の会話は、観察していると、意外にも「本音でぶつかる」ということが発生しやすかった。

 私は新人時代に、先輩たちに話をよく聞いてもらった。それは「未熟」だったからだ。その後、コンサルタントとしての技術を身につけるにつれて、先輩たちはどんどん辛らつになっていった。

「その定義はおかしくない?」
「もっといい案があると思います」
「ダメな態度だ」

 でも、そう言われるようになってはじめて、一人前だと認められたことになる。

 ちまたにはスタートアップの経営者などが「わが社では、遠慮なく意見を言うことが求められる」と自慢げに語る本がたくさんある。

 しかし、それは文化がそうなのではなく、「コミュニケーションお化けがそろっている」と考えたほうが実情に近いだろう。