親が「育てにくい」と感じる子には、感情のコントロールが苦手な子が多いものです。

 怒りや悲しみ、イライラなどの感情を収めることがうまくできない根底には、欲求不満があることがほとんどです。

 たとえば子どもがいきなりお母さんに物を投げつけたとします。「危ないでしょ」「物を投げてはいけません」と言いたくなりますね。しかりたくなるのも当然ですし、「ごめんなさいは?」と謝ることを教えたいと思います。それはいいのです。でも子どもがさらに怒って泣きわめくなら、いったん立ち止まって考えてほしいのです。この子はわたしに何かしてほしいことがあるのだ、と。わかってほしいことがあるのだ、と。

 幼い子どもの望みに、さほどの種類はありません。妹よりもわたしのほうをかわいがってほしいとか、疲れたから抱っこしてほしいとか、幼稚園や学校でイヤなことがあったから甘えたいとか、そういうことです。その希望がかなえられないから、欲求不満を物に置き換えて投げつけているのです。それだけお母さんを求め、愛を返してほしいと思っているのです。

 このときに親がすべきことは、しかることでも、「なぜいけないか」を理詰めで伝えることでもありません。甘えさせることです。抱っこして「大丈夫だよ」と言ってあげることなのです。

子どもはいくつでも
甘えさせていい

 最近のお父さんお母さんたちは、育児書などを読んだり、インターネットでさまざまな体験談を見たり、子育てに関して勉強している人が多いと感じます。子どもをたたくのはいけないということも、甘えさせることが大切だということも、よくわかっています。

 その一方で、「子どもの理不尽な要求に無条件で応えてもいいのか」「子どもとはいえ、乱暴な態度を許してはいけないのではないか」「甘えさせるのはいいけれど、甘やかしてはいけないはずだ」などと、さまざまな知識や常識との矛盾の中で揺れ動いているとも感じます。確かに一般的な大人の論理でいけば、それは正しいのです。でも、幼い子どもと親との関係の中ではあまり意味をなしません。