わが子がぐんぐん伸びる!中高一貫校&塾&小学校【2026年入試版】#22

昨年、大反響を呼んだ希学園首都圏の「全生徒別の合格校一覧」。塾側の目線で併願戦略を解説した記事は少なく、生徒別の合格校は外部からは知ることができないからだ。そこで、特集『わが子がぐんぐん伸びる!中高一貫校&塾&小学校』の#22では、特別に希学園首都圏にデータを提供してもらい、2025年入試の「全生徒別の合格校一覧」を掲載。さらに偏差値帯別の合格校や併願戦略について、希学園首都圏学園長の山﨑信之亮氏に解説してもらった。(構成/ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

偏差値65以上から40未満まで
全生徒の合格実績を完全公開!

「御三家合格者○○人」「難関校合格者が過去最高」――。多くの塾では、難関校の合格実績を目立つようにウェブサイトやチラシに掲載している。「難関校への合格実績」こそが、中学受験塾を選ぶ家庭に対して最大のアピールポイントとなるからだ。

 とはいえ、どんなに難関校に強い塾であっても、全員が御三家や準御三家、早慶などに合格できるわけではない。保護者としては、その塾の中位層、下位層がどの学校に合格しているかも知っておくべきだろう。

 ただし、クラス別や生徒別の合格校は外部からは分からないケースが多い。在籍した生徒の全合格校をウェブに掲載している塾であっても、上位クラスの生徒が複数校に合格しているケースもある。

 そこで今回は希学園首都圏に特別にデータを提供してもらい、偏差値帯別に全在籍者の合格校を掲載する。

 希学園の偏差値はSAPIX偏差値と似た水準で、母集団のレベルが高い分、数字が低く出やすいのが特徴だ。偏差値は、希学園の公開模試の6年生の平均偏差値を使用している。

 男女別に偏差値65以上の最上位層から、偏差値40未満まで七つのゾーン別に解説するので、「どのクラスにいれば、どの学校を狙えるのか」が具体的に見えてくるはずだ。また、在籍201人の中で合格校がない「全落ち」の生徒がいないことも特筆に値するだろう(併願戦略は#24でも解説)。

 それでは希学園首都圏学園長の山﨑信之亮氏に、偏差値帯別に全生徒の合格校と併願戦略を解説してもらおう。

男子は偏差値50台前半からも
駒東、筑附、慶應普に進学

 2025年は在籍201人全員が合格を勝ち取りました。まずは男子の偏差値65以上の最上位層から見ていきましょう(生徒別の合格実績は次ページに掲載)。

 希学園では偏差値別に最上位のS0からS9まで10段階のクラスを設定していますが、この子たちは一番上のクラスである「S0常駐組」です。クラス落ちをしたことがない子が多いはずです。

 男女ともに、超難関校であっても「全勝」が期待できる子たちです。生徒別の合格一覧の表を見ていただくと分かるように、男子の場合、筑波大学附属駒場、灘、開成、聖光学院に合格できる子がそろっています。

 もちろん、入試なので「万が一」もあります。3番の子は開成、筑駒で苦しい経験をしましたが、渋谷教育学園幕張と聖光に合格しています。4番の子は渋幕、聖光、筑駒に受かっていますが、開成は不合格になっています。

山﨑信之亮・希学園首都圏学園長やまさき・しんのすけ/1986年生まれ。希学園関西で中学受験を経験し、灘中に進学。東京大学在学中から希学園首都圏で講師として指導に携わる。2016年に希学園首都圏の学園長に就任。現在も国語科専任講師として教壇にも立つ。論理的な国語解説と生徒・講師の双方向発信による活気あふれる授業を信条とする。Xのアカウントは@yamasakinozomiE

 このゾーンの特徴は、1月の段階で渋幕や灘の合格を獲得している子が多いことです。特に渋幕は「進学前提」の合格が多いですね。

 付け加えると、25年は最難関の筑駒が復権した印象があります。昨年は「筑駒の繰り上げ合格が増えた」という報道もありましたが、今年は本当に難しかった。

 聖光も勢いがあります。開成に合格した子でも、聖光の1回目は不合格で、2回目に合格した子がいます。もちろん、聖光が○で開成が×の子もいます。筑駒に受かる水準でないと、1日、2日で開成、聖光を二つとも合格するのは難しくなっています。

 25年度入試が始まる前は「難関疲れ」などと指摘されましたが、例年通り最難関校は厳しい戦いでした。御三家も応募者は減少していますが、回避したのはチャレンジ層です。倍率が下がったことで、受かりやすくなったということはありません。

次ページでは希学園首都圏の全生徒(201人)別の合格校データを公開。引き続き、山﨑氏が偏差値帯別の合格校や併願戦略について解説する。特に中位クラス、下位クラスの合格先は外部から知ることは難しいデータなので必見だ。また、入試直前、期間中のリアルや、偏差値帯別に期待値を最大化する併願戦略のポイントについてもお届けする。