読み聞かせを受けて育った子は
読書時間が2倍に増える

 また、この調査がもう1つ明らかにした重要な点は、家庭環境が子どもの読書習慣の形成に非常に大きな影響を与えるということです。

 具体的には、家に蔵書が多い家庭や、保護者が子どもに本を読むことの大切さを伝えている家庭ほど、子どもたちの読書時間が長い傾向にありました。

 特筆すべきは、小学校入学前の「読み聞かせ」が、子どものその後の読書習慣に与える長期的な影響です。

 この調査によると、小学校入学前に週4日以上読み聞かせを受けていた子どもは、中学生になっても、週1日未満だった子どもに比べて1.5倍から2倍程度長い読書時間を維持していました。

 これは、単に「何冊読むか」だけでなく、継続的で質の高い読書体験が、長期的な影響を及ぼすということです。

 子どもたちの平均読書時間が7年間で約3分減少したと聞いても、読書離れの深刻さを十分に感じられなかったかもしれません。

 しかし、この一見小さな数値の裏には、見逃してはならない構造的な問題があります。それが「読書習慣の二極化」だと私は見ています。

 すなわち、日常的に読書を継続する「多読層」と、全く読書をしない「不読層」という2つの層に明確に分かれてしまっているのです。

 単に子どもたち全体の読書時間が均等に短くなったのではなく、不読層の子どもたちはますます読書から遠ざかり、その一方で多読層は安定した読書習慣を維持し続けているという、分断された構造が浮かび上がってきます。

子ども時代の読書習慣が
脳の作業台を広げてくれる

 この幼少期の読書体験の差は、子どもの将来にまで長期的な影響を及ぼします。多読層の子どもたちは、図表の理解力、論理的思考力、長文の理解力、文章表現力などについて、自己評価が非常に高い傾向があります。

 また、ニュースへの関心や自分自身への自信、さらには将来に対する目標意識も、不読層の子どもたちよりも高い傾向にありました。