特に若年層(10代・20代)が音声メディアを好む理由として、「ながら視聴に適している」「暇つぶしになる」「効率的に情報を得られる」などが上位を占め、タイムパフォーマンス(タイパ)が重要視されていることが明らかです。
また、「他メディアにはない独自性のあるコンテンツ」や「声だからこその温かみ・親近感」など、音声メディア特有の魅力を求める傾向も示されています。
しかし、これらの傾向は必ずしも「文字離れ」を意味しません。文化庁「国語に関する世論調査」(令和5年度)では、約63%の人が月に1冊も紙の本を読まない一方で、SNSやインターネット記事などでほぼ毎日活字に触れると答えた人が約75%もいました。
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むしろ、本は読まないけれど活字に触れる総時間は増えたと感じている人もいるのではないでしょうか。
つまり、若年層から中年層においては、文字離れが進行しているのではなく、紙媒体の本から、デジタルデバイスを用いた「短時間頻回型」へのシフトが起こっていると言えるのです。
高齢者層(特に70歳以上)においては、「視力など健康上の理由」に加え、「テレビの方が魅力的」という理由での読書離れが多く挙げられており、活字メディアから視覚的・受動的なメディアへの移行が起こっていることが分かります。
SNSで触れる文字では
思考力は高まらない
加えて、電子書籍の普及も顕著になってきています。
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調査では、電子書籍を「よく利用する」または「たまに利用する」と回答した人が約40%を占め、特に40代以下ではその割合が半数を超えました。
『読書する脳』(毛内 拡、SBクリエイティブ)
また、紙の本よりも電子書籍を多く利用する人も約41%に達しています。2013年度以降、電子書籍の利用率は一貫して増加傾向にあります。
このことから、情報機器の普及は単に私たちから紙の本の読書時間を奪っているだけでなく、新しい形態の読書を促していることは明らかです。
すなわち、さんざん「読書離れ」が叫ばれている現在は、実のところ「読書形態の多様化」が進んでいる時代であり、「読書離れ」という表現は必ずしも正確ではないことが分かります。
とはいえ、この調査の回答にはSNSや短いインターネット記事などの閲覧も含まれるため、書籍をじっくりと読む集中力や内容の理解力といった、深い思考を促す「読書の質」が同様に維持されているかどうかは、検討していく必要があるでしょう。







