さらに青少年教育研究センター(国立青少年教育振興機構)が2021年に実施した調査では、子どもの頃の読書経験が成人後の意識や非認知能力、さらに認知機能(特に「ワーキングメモリ」)に与える影響が検証されました。
同書より転載 拡大画像表示
「ワーキングメモリ」とは、脳の中で一時的に情報を保ち、それを処理しながら別の作業を同時に行う能力のことです。いわば頭の中の作業台のようなもので、たとえば買い物中に頭の中で計算を行ったり、会話中に前後の文脈をつなげたりする際に重要な役割を果たします。
調査の結果、子ども時代に多くの読書経験を積んだ人ほど、この「ワーキングメモリ」のテスト(N-back課題という、情報を記憶しながら作業を行う課題)において良好な成績を示しました。
子ども時代の読書習慣が、「脳の作業台」を広く、効率的に活用する能力に長期的な影響を及ぼすのです。
また、自由に興味や関心に沿って読書を楽しんだ経験が多いほど、その後も読書習慣が継続しやすいことも分かりました。
一方、強制的にページ数や著者を指定されるなどの義務的な読書は、逆にその後の読書量を減らしてしまう可能性があることも明らかになっています。
こうした結果を踏まえると、子ども時代に「何を」「どのように読むか」という読書経験の質が、脳の機能をはじめ、生涯にわたる認知能力や意識・非認知能力の形成に、極めて重要な影響を与えていると言えるでしょう。
スマホに時間を奪われ
読書量が減った現代人
子どもたちの読書離れの実情については分かりましたが、それでは、大人はどうでしょうか?
令和5年度に文化庁国語課が実施した「国語に関する世論調査」では、日本人の読書習慣が、紙媒体からスマートフォン(スマホ)やタブレットなどのデジタルデバイスへと明確に移行している実態が示されています。







