「バイブコーディングは時代遅れ」
カルパシー自身の転換

 こうした批判と市場変化の中、バイブコーディングという言葉を生み出した当人が、1年後に自ら「バイブコーディングは時代遅れだ」と言い始めました。

 2026年2月、カルパシー氏はXにこう投稿しています。

「多くの人が、この手法に対してバイブコーディングと区別するためのより良い名前を考えようとしている。私が今一番気に入っているのは『エージェントエンジニアリング』だ」

 カルパシー氏は、AIスタートアップスクールの講演で「ソフトウェア 3.0」という概念を提示しています。ソフトウェア 1.0が人間の手書きコード、ソフトウェア 2.0が機械学習モデル(AIが大量データから学習したルール)、そしてソフトウェア 3.0は「自然言語で表現され、AIモデルによって実行されるプログラム」だというのです。

 カルパシー氏が問うのは、この「プログラム」という言葉の意味の変容です。

「もしプロンプト(AIへの指示文)がプログラムになるなら、今あなたの会社のソフトウェアを書いているのは誰ですか?」

 ソフトウェア 3.0の世界では、プログラマーとはエンジニアだけを指す言葉ではなくなります。営業担当者でも、法務担当者でも、経営者でも、AIに対して「何を達成したいか」を的確に言語化できる人間が、事実上「ソフトウェアを書いている」ことになるからです。

「プログラミング言語の習得」という参入障壁が崩れたとき、ソフトウェア開発は特定の職能の専有物ではなくなります。誰もがコードを書けるそのとき、「何を作るべきか」という判断こそが差異を生みます。