その先で、カルパシー氏は「エージェントのために構築せよ」という方向性を示しています。バイブコーディングが「AIに雰囲気で任せる」手法だとすれば、エージェントエンジニアリングは「目標を設定し、AIエージェントを指揮・監督する」という、より高度で責任ある職能の形です。技術的なスキルが不要になる代わりに「何をすべきか」を構造的に考える力がより強く問われることになります。

コードを書かなくなった
ソフトウェアエンジニア

 カルパシー氏の発言は抽象的な将来論ではありません。AIの最先端企業では、既に現実に起きていることです。

 例えば、AIスタートアップ・Anthropicが提供するコーディングツール「Claude Code」。このツールの責任者、ボリス・チェルニー氏は「個人的に2カ月以上コードを1行も書いておらず、提出したプルリクエスト(コード変更の提案)はすべてClaude CodeとClaude Opus 4.5が書いたものだ」とXに投稿しています。

 同社では、全社のコードのAI生成比率は70〜90%と公式に表明。Claude Codeのコードも約90%をClaude Code自身が書いています。また、非技術者向けの作業自動化ツール「Claude Cowork」の大部分は、Claude Codeが開発したものです。

 Anthropic CPO(最高製品責任者)のマイク・クリーガー氏は「ClaudeはClaudeによって書かれている」と強調。CEOのダリオ・アモデイ氏も、2026年1月のインタビューで「AIモデルがソフトウェアエンジニアの業務のほとんど、またはすべてをこなせる状態まで、あと6〜12カ月だ」と発言しています。

 日本の先進企業でも同様の変化が起きています。メルカリは2025年8月公表の決算資料で、プロダクト開発におけるAI生成コード比率が70%、エンジニア1人当たりの開発量が64%増え、社内のAIツール利用率が95%に達したと明らかにしました。