同じ「ヒロインの父」でも…

 さて、栃木。村にコロリが蔓延(まんえん)しはじめた。コロリにかかるとかなりの確率で死亡する、おそろしい伝染病。患者を出した家には札が貼られ、誰も近づかない。お金欲しさに看病を引き受ける人もいるが、決死の行為である。そうこうしているうちに虎太郎(小林虎之介)の母もコロリに罹って、避病院に入った。そこに入ったら戻ってこられないと言われていた。

 虎太郎が心配なりん。人目を避けて、船着き場で語り合う。虎太郎は近づかないほうがいいと言うが、りんは心配で……。でも、虎太郎の手に触れたいけれど、遠慮してしまう。

 家に帰ったりんは信右衛門に「間違えた」と反省する。あのとき、やっぱり虎太郎の手を握ればよかったと後悔したのだ。そんなりんに信右衛門は、論語の一節を語る。

「子のたまわく、過ちて改めざる。これこそ過ち」

 人は間違える。だが過ちに気づいて改めないことこそが過ちである、という意味だ。

 第2回の「学ぶことはときに世を渡る翼となり、ときに身を守る刀になる」といい、今回の朝ドラのお父さんはよくできた人だ。同じ武家の出なのに『ばけばけ』の司之介(岡部たかし)とは大違い。司之介のふわふわした感じも悪くはないが、子どもには信右衛門のように正しい教育をしてほしい。

 いい話を父と娘のふたりでしていて、母・美津(水野美紀)と安(早坂美海)は東京に行っている。

 信右衛門の弟・信勝(斉藤陽一郎)からの縁談話を進めに来ていた。気の進まないりんに代わって安が縁談を受けることになったのだ。

 商人になった義弟に美津は着物を10円で買い取ってもらう。りんの家もなかなか苦労しているようだ。

 さて、おなじみの当時の貨幣価値シリーズ。

 明治15年(1882年)、10円で何が買えた? 週刊朝日編「明治大正昭和 値段史年表」をめくってみよう。

 明治15年、桐箪笥(きりだんす)6円。銀座の地価5円(東京銀座三愛付近1坪。最も日本で高い場所あたり)。食パン6銭(1斤)。

 1年前の明治14年、牛肉の大和煮の缶詰(1ポンド缶)が23銭。

 1年後の明治16年、牛乳4銭。180cc。

 着物がぎっしり入った桐箪笥より中身の着物のほうが高価ということだろう。

 1円が100銭とすると、缶詰43個、牛乳250本買えるから、生活の足しにはなるが、着物にも限りがあるだろう。りんの家もなかなか大変そうだ。