朝ドラ「いい父親ほど早死に」の法則?北村一輝がまさかの放送4回で“退場”〈風、薫る第4回〉

納屋に入れないりん

 いまのところ、広々とした自然が美しい。

 松園CPはこう語る。「ロケ地の那須地域が自然な形で、つまり観光地的なということよりも、日常の暮らしの一部として、ひじょうにきれいに自然が残されています。地元の方々がいかに地元を大事にしているか、守っていらっしゃるかということを痛感しながらありがたく撮影に使わせていただいたという感じです」

 そんなすてきなロケシーンも、やがてりんと直美が看護師になると、おのずと病院のセットになるのだろう。「多分、狭いなと思う瞬間があるかもしれないですけれど、そこは大目に見てください」と話していた。

 せっかくのロケが多い第1週。父が倒れて狭い納屋にこもる。

 悲しい劇伴とひぐらしの声と西日。『ばけばけ』の主題歌が流れてしまいそうな画面のなかでりんがしょんぼりしている。

 食事や着替えを納屋の戸の前に置くと、父はりんがいないのを見計らって戸を開けて食事を納屋に入れる。
なんとか父を励ましたい。りんは知恵を絞って、折り紙で納屋の向こうに手紙を送り、納屋の前で歌を歌う。ひととき癒やされる信右衛門。

 コロナ禍のとき誰もがこういう触れ合えない経験をしているはず。だからこのシーンは胸に迫った人が多いのではないだろうか。いや、いまだに過去のことにできない人もいるのでは。

 お父さん、死なないで! シンプルに祈って見ていたが――。

 ある日、納屋から気配がしない。

 りんはなんとしても部屋に入ろうとすると、父はまだ生きていた。

 ここで、思うのは、刀を持っているから自害してしまうんじゃないかということ。

 でも、信右衛門はそうしない。

 納屋にかすかな風が入ってきて、信右衛門の頰を撫でる。

「死にかけているというのに風をこの頰に受けたいと思う。私はまだまだ生きたいようだ」
「腹を切って許されるのは武士の世まで。これからは情けないと言われようとも生きてゆかねばならぬぞ」
「生きろ、りん」
「おまえはきっとやさしい風を起こせる」

 やがて戸のつっかえ棒がとれてりんが入ると――。