りん、虎太郎の思いをふっきって奥様になる決断

 多部未華子、高嶋政宏、研ナオコ、1話分(15分)で3人も強烈な俳優が登場し、大渋滞状態。レビューを書くのも一苦労である。

 さらに、りんが新たな縁談に悩み、虎太郎(小林虎之介)と今度こそ手を繋ぐが、自分から離してしまい、縁談を受けることを決意するという、スピード展開。

 でもここで、りんと虎太郎の場面をゆっくり見てみよう。

 捨松と出会って、ハンカチを巻いてもらったりん。このとき、破傷風になるから清潔にしないといけないと捨松が言っていたのが、りんの看護師の道を暗示しているといえるだろう。

 河原まで歩いてくると、船着き場で虎太郎が釣りをしていた。

 りんは虎太郎に教わって釣りをやってみる。その最中、縁談の話を聞いて虎太郎が倒れ、地面に手をついてしまった。りんはハンカチを虎太郎の手に巻く。

 そんなりんをまぶしそうにみる虎太郎。

「りんは俺の姫様だ」

 世が世なら、りんは家老の娘で虎太郎は農民、身分違いであった。でも時代が変わったいまはそんなことは関係ない、はず。虎太郎は思い切ってりんの手に触れる。あの日、りんができなかったことを虎太郎が勇気を奮って行った。

 しばしの無音。

 本当はうれしいはずだが、りんはそっと手を離す。

 静かに風の音が聞こえる。

 りんは、家のために「奥様」になる決意をする。

 朝ドラ第1週にしては、朝食バイキングで、和食と洋食、欲張ってどっちも食べておなかがいっぱいという感じである。

 吉澤さんは「主人公が2人なので、そのバランスを考えながら、15分の枠に収めることに苦労しています。とりわけ、第1週はどういうバランスで何をやるべきか、かなり試行錯誤しました。でも、その分とても分厚いストーリーになっています」と振り返った。

 確かに情報量がとても多い。朝ドラといえば、第1週は子役回で、のんびり世界観に慣れていくというこれまでのイメージとは違ういきなり濃密な朝から昨日から煮込んだカレーやステーキを食べるみたいなアスリートの朝食のようでもあった。

 でも、広々した空間に風が吹いているおかげで、おなかいっぱいが中和される。朝食後に自然いっぱいの地を散歩するような、旅行気分である。

 第2週も濃密になりそうだ。りんと直美は出会うだろうか。

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