また、このように右=保守に大きくずれた国会議員と比べても、当時の安倍晋三首相のイデオロギーはさらに大きく右=保守にずれていた。これを図示したのが、図表8・9である(『現代日本の代表制民主政治』)(編集部注/2003年から、谷口が朝日新聞社と共同で行なっている政治家調査と世論調査をもとに作成。「憲法改正」、「自衛隊の意義と役割の加憲」、「原発再稼働」、「防衛力強化」といった質問に対する答えから、政治家と有権者のイデオロギー位置を推定している)。
同書より転載 拡大画像表示
同様に政治学者の中北浩爾と大和田悠太は、このような自民党の右傾化について、「自民党は無党派層が多くを占める有権者からの集票を最大化するためではなく、国会議員・地方議員、党員・支持者や友好団体などを含む内部の結束を固める目的で、リベラル色の強い民主党との違いを強調し、右派的な理念を掲げた」のだと指摘している(「自民党の右傾化とその論理」)。
下野の苦い経験が
自民党を右にずらした
自民党の衆議院議員で、閣僚や自民党総務会長などを歴任した野田聖子は、次のような注目すべき発言をしている。
『新しい階級社会 最新データが明かす〈格差拡大の果て〉』(橋本健二、講談社)
《野党時代、私は出産で一時仕事を離れていました。復帰したら自民党の風景が変わっていたというか、みんな焦っていた。野党になって勇ましくなっているなと感じました。
やはり野党でいると埋没していく。マスメディアの露出もどんどんなくなる。与党と差別化しないといけない。だから政策的に個人重視の民主党に対して、自民党は、国家を基本とする政策を重視するというわかりやすさを出していこうとした。それでかなり右にずれたかなと思います。野党の自民党を一生懸命支えてくれた方たちが、そちらのほうにいたということもあります。(「人口減少の現実をふまえ、持続可能な安全保障を考えよう」『世界』2014年6月号)》
これは重要な発言である。野党となった自民党は、与党である民主党と差別化するために右傾化し、国家主義的な政策をアピールして注目を集めると同時に、野党に転落した自民党を支えている右派層の要求に応えようとしたというのである。おそらくその右派層こそ、今回のデータ分析から浮かび上がった「新自由主義右翼」に連なる人々だろう。







