それから飲むときは、なるべく家に友人を招くようになり、以前にも増して一緒にお出かけや旅行をするようになった。5歳になる頃には、お互い顔を見るだけで意思疎通ができるような関係になっていた。

 そんな経験から、大福にも基本は好きなようにさせている。

 しつけなんてほぼしていないけど、今ではどちらも手のかからない家族になっている。けれど、最初からそうだったわけでもない。

 大吉は仔犬の頃から優等生で特に悪さはしなかったが、仔犬の福助は極度の対人恐怖症で、それを克服してからは破壊王に変貌した。本棚から本を引っ張り出してビリビリにするわ、家具の脚という脚をガジガジするわ、壁紙は剥がすわ、まぁひどかった。

 たくさん遊びに行っていたし、ストレスが溜まっているとは思えなかったから、なぜあれほど荒くれていたのかは謎だ。でも人間だってやんちゃな時期はあるから、似たようなものだろう。

 中型犬なのに、富士丸の記録を超えて、福助はソファーを2脚ズタボロにしてくれた。さすがにソファーのときは「ゴラァァァ!」と叱ってはみたが、内心では「そのうち収まるだろう」と思っていた。どんな犬も必ず落ち着くときが来ることを知っていたからだ。案の定、3歳を過ぎた頃に破壊活動は収まった。

人間社会のルールに合わせず
折れるところは折れる

 そもそも、犬はトイレの場所なんて決める必要はないし、破壊していいものと駄目なものの区別なんてつくわけがない。それでは困るから人間社会で一緒に暮らすためにルールを覚えてもらっているだけだ。そのすり合わせに数年かかると、私は思っている。

 こちらに合わせてもらうだけでは悪いから、折れるところは折れるようにしている。

 たとえば、大福には寝る前に家の中のトイレでオシッコしてもらうことにしていた。

 シニア犬になって足腰が弱くなったとき、わざわざ外に出てオシッコしなくてもいいように。大吉は嫌々でも従ってくれていたが、福助があるときから断固拒否するようになった。いくら「オシッコして」とお願いしてもしない。夕方の散歩から時間が経っているからしたいはずなのに。

 そこで仕方なく、外へ連れ出すと、する。家の中のトイレでするのはそんなに嫌なのか。なるほど。そこは折れることにして、毎晩寝る前には外に出すようになった。