トミーさんとのシーン「台本に書かれた以上のお芝居ができた」

――演技巧者の俳優の方々がたくさん出演していました。いい意味での対抗心がわきあがるようなことはありましたか。
いや、なかったです。
――ない、ですか。
対決心なんてまったくなく、学ぶことばかりで、皆さんの芝居を全面的に受けることしか考えていませんでした。みなさん、すばらし過ぎて、こっそり皆さんの芝居を学ぶような気持ちで見ていました。とくに相手役のトミー・バストウさんや松野家の人たちから得るものは大きかったです。岡部たかしさんはふじきみつ彦さんの脚本の演じ方の正解を持っていらっしゃる気がして、最初のうち、それをとことん学ぼうという姿勢で吸収するように心がけていました。
トミーさんは自由な俳優です。こうしなければいけないと思ってしまいがちな私とは正反対でした。台本に書かれているものがすべてであり、それが正解ではあるのですが、トミーさんはそれを超えることができる。ヘブンを生きているから、本番で台本を飛び越えていくように感じることがよくありました。
通常なら、セリフをひとつ言い終えたら、そこで気持ちが落ち着くものですが、トミーさんはセリフを言い終わっても気持ちが収まらないことがよくありました。
例えば、第18週でトキが洋妾と思われて石を投げられたとき激怒したヘブンに「わたしは大丈夫ですけん」と言う場面。「大丈夫ですけん」のあともトミーさんは怒りが収まらず、そこに私も乗っかって感情がヒートアップしていって、台本に書かれた以上のお芝居ができました。トミーさんからはエネルギーの分量の大きさのみならず、いろんな角度から脚本を読むことを学びました。
――松江に久しぶりに戻ったとき、げっそり痩せた錦織(吉沢亮)と再会したトキが一瞬言葉を失くすような表情をしておずおずと「お達者ですか」と訊ねる髙石さんの表情がよかったです(第114回)。
一瞬なのに見てくださりありがとうございます。







