驚くほどスムーズに会議を進める人は何が違う?

 一方で、驚くほどスムーズに会議を進める「デキる人」もいます。決して流暢な演説をしているわけではありません。むしろ、自分はあまり話さず、周りに話を振っていることが多いのに、なぜか全員が納得し、最後には「よし、やろう!」という一体感が生まれているのです。

 この決定的な違いを生むのは、話す技術のうまさではありません。

 自分1人でシュートを打とうとするか、それとも、味方にパスを出す“魔法の言葉”の使いどころを探っているか。このスタンスの違いが、会議の成果を天と地ほどに変えてしまうのです。

「正論」は凶器になる

 会議における最悪のふるまいの一つに、「論破」があります。

 自分と異なる意見が出たとき、即座に「それは違います。なぜなら……」と正論で叩き潰そうとする行為です。

× 伝え方がうまくない人
「その意見には、根本的な欠陥があります。今の市場データを理解していません」
→発言者を敵と見なしている

 確かに、論理的には正しいかもしれません。しかし、これを言われた相手はどう思うでしょうか。「恥をかかされた」「この人にはもう何も言いたくない」と、敵対心や無力感を抱くはずです。

 発達心理学に「共同注意」という概念があります。複数の人が同じ対象(ゴール)に注意を向け、そのことを互いに認識している状態です。

 優れた会議とは、参加者全員が「プロジェクトの成功」という共通のゴールに「共同注意」を向け続けている状態を指します。

 しかし、「論破」は、この共同注意を破壊します。注意の対象が「ゴール」から、「発言者個人」や「勝ち負け」に逸れてしまうからです。論破してその場では勝った気になっても、相手の心にはしこりが残り、協力関係は崩壊します。つまり、仕事としては「負け」なのです。

 伝え方がうまくない人は、参加者を「説得すべき対象(敵)」と見ています。

 一方、伝え方がうまい人は、参加者を「同じ船に乗ったクルー(仲間)」と見ています。

 このマインドセットの違いが、会議の質を決定づけます。