林修先生も言っていた「頑張る人」と「頑張らない人」の明確な違い『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク

三田紀房の受験マンガ『ドラゴン桜2』を題材に、現役東大生(文科二類)の土田淳真が教育と受験の今を読み解く連載「ドラゴン桜2で学ぶホンネの教育論」。第137話は、「頑張る」ことの重要性について考える。

林修先生の「入試1カ月前」メッセージ

 ついに東大受験の本番を迎えた龍山高校の生徒たち。小学校の計算問題からスタートした天野晃一郎と早瀬菜緒も、「やっと頑張れる人になれた!」と自信を持って入試に望むのだった。

 予備校講師でタレントの林修先生が、入試1カ月前に受験生に伝えることとして次のようなことを語っていた。YouTubeなどで見たことがある人もいるかもしれない。

「あと1カ月、頑張る人と頑張らない人がいて、その結果として受かる人・落ちる人がいる。頑張って落ちる人、頑張らなくて受かる人も当然出てくる。ただ合否に関わらず、頑張らなかった人は『自分はたった1カ月も頑張れないのか』と思いながらこの先を過ごすことになる」

 意外かもしれないが、第1志望に合格した人の中でも「自分は頑張った」と胸を張って言う人は少数派だ。自分の周りだと、「確かに自分はそこそこ頑張ったかもしれないが、自分より頑張っていた人を知っているので、『頑張った』と公言できるレベルではない」と言う人が多い。勉強量としては一番頑張っている浪人生ほど、「自分は浪人したから」と控えめになるケースが目立つ。

 受験はもちろん個人戦だが、自分の努力を完全に隠すことは難しい。その結果、友人の「頑張って勉強している」という姿勢だけが目立つ。そのジレンマや悩みを深く知ることは少ないため、友人は自分より頑張っているに違いない、と思い込んでしまうのだ。

 特に受験後に「自分は頑張っていない」と思い込んでしまうと、大学生活にも影響が出てくる。新たな環境において、無根拠な自信ほど役に立つものはない。全力を出せなかった負い目のようなものを感じながら新生活をスタートさせないためにも、何も考えず勉強するのは大事なことかもしれない。

「とりあえず1カ月」が人生の転機に?

漫画ドラゴン桜2 17巻P131『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク

 4月から本格的に受験勉強をする人にも、改めて第1志望を目指す人にも、「まるまる1カ月」作戦は有効だ。だが、まるまる1カ月朝から晩まで勉強漬けをするのが、学習効率として最適かと言われるとそうではないだろう。人間の集中力には限界があるし、適度なリフレッシュを挟むのが適切だ。

 ただ、まるまる1カ月朝から晩まで勉強するという経験が自信になることは間違いない。その自信は、受験という山を越えた後でも生きてくるのだ。できれば直前じゃない方がいいだろう。直前期は第2、第3志望の大学受験がある上に、生活リズムを崩すリスクがある。

 学校の授業がない夏休みなどはどうだろうか。学習効率が悪いかもしれない、という悪魔のささやきにも、「仮にそうだとしてもまだ時間はある」と開き直ることができるし、何より結果が秋に戻ってくる。周りがだらけそうな時に頑張って、相対的に自分の成績をあげておけば、本番直前の自信につながる。

 それでも不安ならば、今始めればいい。同じ実力や成績を持つ人の間での勝負で鍵を握るのは自信だ。少しでも自信をつけるために、みんなが本格的に勉強していない時期にあえて集中的に勉強するのは1つの手段だ。

 もちろん、そんなことを考えずとも、最初からゴールを見据えてコツコツと計画的に勉強するのが本当は一番効率的なのだろう。ただ、そんな計画を完璧にこなせる人はほとんどいない。だったら、多少むちゃくちゃでも、とりあえず目の前の課題に1カ月取り組んでみるのは、大学生活やその後の人生を考えると得策なのかもしれない。

漫画ドラゴン桜2 17巻P132『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク
漫画ドラゴン桜2 17巻P133『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク