合格発表で「現地の掲示板を見に行く人」と「ネットで確認する人」の決定的な差【マンガ】『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク

三田紀房の受験マンガ『ドラゴン桜2』を題材に、現役東大生(文科二類)の土田淳真が教育と受験の今を読み解く連載「ドラゴン桜2で学ぶホンネの教育論」。第138話は、志望校や塾選びにおける「指標としての数字」について考える。

たしかに「塾の指導力」は伝わるが…

 東京大学の合格発表を迎えた3月10日。合格発表を現地の掲示板に確認した者はすぐに合否を確認できたが、ネットで確認しようとした者はアクセスできるまで時間がかかるという“ハプニング”があった。

 小学校レベルの勉強からやり直した天野晃一郎と早瀬菜緒だったが、2人とも無事に合格することができた。一橋大学から志望を変更した小杉麻里や直前で文転した藤井遼を含め、龍山高校からは7名の東大現役合格者を輩出したのだった。

 各大学の合格発表も終わりにさしかかり、各高校や塾の合格者数ランキングは、今年もSNSをにぎわせてきた。だが合格者数も東大合格者数などの「数」に惑わされてはいけない、ということは本稿でもずっと訴えている。

 ある塾は、駅の看板広告などで「東大現役合格者○○名 昨対比+30名!」などという広告を打ち出している。ところが、この広告を毎年比べてみると面白い。ある年は「国公立大医学部合格者○○名 過去最高!」と書いてあったかと思えば、次の年は「東京大学現役合格 5年連続○○人超!」と書かれていることもある。

 ここ数年東大合格者数を前面に出すことは少なかったが、今年は「東大現役合格 史上最高 ○○名」と書かれており、少し懐かしい気持ちになった。

 もちろん多くの合格者を出すことは、その塾の指導力を示す1つの指標であることは間違いない。ただ、「合格者数」だけを見ていることはあまり意味がない。

「学校のリアル」を表している情報

漫画ドラゴン桜2 17巻P151『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク

 その理由の1つは、兼塾の問題がある。2025年の東大合格者数ランキングでは、上位3つの塾の合格者数だけでも、その総和は実際の東大合格者数を1〜2割上回っている。

 東大受験生の中には、授業料がやすくなる特待生制度を活用し、国語は東進ハイスクールで、英語は駿台で、数学は鉄緑会で、理科社会は学校で、といった生徒も珍しくない。こういった事情を踏まえ、駿台予備校では2026年度から東大を含む合格者実績を公表しないことを発表している。

 もう1つの理由は、合格者数よりも重要な「在籍母数」「受験者母数」がブラックボックスだからだ。どのくらいの割合で合格しているのか。前述の兼塾の問題も踏まえると、一体どこまでの在籍者を母数に数えればいいのだろうか、というところから考えなくてはならない。

 これは、中学受験の学校決めや塾決めでも同じ話だ。合格者数はネットで公開されているからすぐに見つけることができるし、単純な数字なので比較も簡単だ。そんなことわかっている、という人も多いかもしれない。だが、例えば東大の合格率ランキングを覚えている人は、東大の合格者数ランキングを覚えている人よりもはるかに少ないだろう。

 要するに、数字が示す学校や塾が「自分や子どもにあっているか」とは別問題だ。結局自分の目で確かめるしかない。特にSNSには、特定の学校・塾の学習環境や先生に対する称賛や苦言があふれている。こういった情報を、真に受けすぎない程度に参考にするのは悪いことではないだろう。

 同時に、塾選びや学校選びでは「特徴的でないし、オフィシャルには表に出てこないであろう情報」をどれだけ集めることができるかも鍵だ。授業中どれだけの生徒が寝ているか、職員室に自由に出入りできるか、在校生にしかわからないことこそが、実は最もその学校の雰囲気を表しているのである。

漫画ドラゴン桜2 17巻P152『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク
漫画ドラゴン桜2 17巻P153『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク