その時、興味を持ったのが「遺書」についてです。人はどんな気持ちで最期の言葉を残すのだろう。そこにはどんな思いが詰まっているのだろう。そう思って、遺書をテーマに研究したいと思い立ち、大学院への進学を決めました。
でも、当時の僕はすでに45歳。20代のキラキラした若者たちが集う教室に通うのは、正直勇気がいりました。「今さら学生をやるなんて」と笑う人もいっぱいいたけど、それでも飛び込んでみたかった。
そして、結果的に、大学院に行って本当に良かったです。未知の世界に入っていくあの感覚は、人生のどの瞬間よりも新鮮でした。もちろん、最初は場の空気に馴染めず、孤立感がなかったわけではありません。でも、思い切って質問をしたり、教授に話しかけたりしているうちに、だんだん周囲と打ち解けていきました。
また、若い学生たちとも、年齢を超えて信頼関係が築けることを知りました。年齢なんて関係ない。新しい領域に飛び込む勇気さえあれば、人はいつでも学ぶことができる。新しいコミュニティに入って、新しい知識をインプットして、自分を少し揺さぶってみると、思ってもいなかった化学反応が起きる。それを知ることができたのは、とても良い経験でした。大学院でのあの体験が、今の僕の「学び直し」の原点です。
思い付いた瞬間が
一番“熱”がある瞬間
やりたいことを先延ばしにすることに、多くの人はもっと危機感を持った方がいいと僕は思います。なぜなら、「いつかやろう」と思っても、その“いつか”は必ず遠ざかっていくからです。人間の脳は、変化よりも安定を好みます。新しい行動を起こそうとすると、脳は「危険だ」と判断してストップをかけてしまう。そして時間が経てば経つほど、現状に慣れてしまって、その制約がどんどん強くなる。つまり、一歩を踏み出すための心理的なハードルは時間とともに高くなっていくのです。







