「構想力・イノベーション講座」(運営Aoba-BBT)の人気講師で、シンガポールを拠点に活躍する戦略コンサルタント坂田幸樹氏の最新刊『戦略のデザイン ゼロから「勝ち筋」を導き出す10の問い』(ダイヤモンド社)は、新規事業の立案や自社の課題解決に役立つ戦略の立て方をわかりやすく解説する入門書。戦略とは何か。変化の時代に、企業は何を問い直すべきなのか。本連載では、さまざまな経営や組織の悩みについて坂田氏に話を聞きながら、同書の考え方を現在進行形の課題へと結びつけていく

仕事ができる人の「朝の1分習慣」Photo: Adobe Stock

テキパキ仕事をこなす人の盲点

 あなたは出社して、最初に何をしていますか?

 多くのビジネスパーソンの朝は、だいたい同じ流れで始まります。

・メールやSlackを開き、未読を処理する
・To Doリストを確認し、今日こなすべき仕事を把握する
・昨日の延長線上で、作業に取りかかる

 どれも無駄がなく、効率的な働き方に見えます。実際、テキパキと仕事を進めること自体は悪いことではありません。

 しかし、この習慣には一つ、見落とされがちなポイントがあります。

 それは、「昨日正しかったゴール」を疑わないまま、今日も走り続けてしまうことです。

仕事ができる人が出社してまずやることは?

 一方で、仕事ができると言われる人たちの朝は、少し違います。

 彼らは、メールを開く前に、ほんの数分だけ立ち止まります。そして、自分にこう問いかけます。

今日の仕事は、そもそも何のためにやるのか?
昨日と比べて、状況は変わっていないか?
今、自分が本当に解くべき問題は何か?

 やっていること自体は、ほんのわずかな違いです。たった数分の習慣です。それでも、「何を問うか」が変わると、「何をすべきか」は根本から変わります。

 与えられたタスクや、あらかじめ用意された答えに向かって進むだけでは、誰かが設定したゴールに向かって走り続けることになります。

 一方で、自分で問いを立てる人は、ゴールそのものを見直し、自分の判断で動けるようになります。

ゴールが変わり続ける時代に必要なこと

 かつては、仕事とは「正しいゴールに向かって最短距離で進むこと」だと考えられていました。いわば、地図を持って走るようなものです。

 しかし今は、状況が大きく変わっています。

 テクノロジーの進化や顧客行動の変化によって、ゴールそのものが日々更新されていく時代になりました。どれだけ速く走っても、向かう先が変わってしまえば、その速さは意味を持ちません。

 だからこそ求められるのは、「与えられたゴールに向かって突き進む力」ではなく、「ゴール自体を問い直す力」です。

 そのための思考習慣を10の問いで体系的に整理したのが、『戦略のデザイン』(ダイヤモンド社)です。答えを教える本ではなく、自分で問いを立てる力を鍛えるための一冊です。

明日の朝、まず「問い」を一つ立ててみる

 仕事ができる人とそうでない人の差は、能力の差ではありません。

 日々の思考習慣の差です。

 明日の朝、いつものようにメールを開く前に、ほんの1分だけ立ち止まってみてください。そして、「今日、自分が本当に解くべき問題は何だろうか?」と、自分に問いかけてみてください。

 その一問が、あなたの一日の質を変えます。

 そして、その積み重ねが、仕事の質そのものを変えていきます。

坂田幸樹(さかた・こうき)
IGPIグループ共同経営者、IGPIシンガポール取締役CEO、JBIC IG Partners取締役。早稲田大学政治経済学部卒、IEビジネススクール経営学修士(MBA)。ITストラテジスト。
大学卒業後、キャップジェミニ・アーンスト・アンド・ヤング(現フォーティエンスコンサルティング)に入社。日本コカ・コーラを経て、創業期のリヴァンプ入社。アパレル企業、ファストフードチェーン、システム会社などへのハンズオン支援(事業計画立案・実行、M&A、資金調達など)に従事。
その後、支援先のシステム会社にリヴァンプから転籍して代表取締役に就任。
退任後、経営共創基盤(IGPI)に入社。2013年にIGPIシンガポールを立ち上げるためシンガポールに拠点を移す。現在は3拠点、8国籍のチームで日本企業や現地企業、政府機関向けのプロジェクトに従事。
単著に『戦略のデザイン ゼロから「勝ち筋」を導き出す10の問い』『超速で成果を出す アジャイル仕事術』、共著に『構想力が劇的に高まる アーキテクト思考』(共にダイヤモンド社)がある。