それだけではありません。長年、僕を支えてくださったコーチとも別れを告げ、新しいサポートチームを結成。それは本当にタフな決断でした。共に戦ってきた仲間との別れは、いつだって寂しく、つらいものだからです。しかし、本気で大きなゴールを叶えるためには、ときに苦渋の決断を下さなければなりません。
慣れ親しんだ環境は心地良いものですが、そこに安住していては、決して見えない景色があります。長く共にいることで「今年はこんな感じだよね」という先入観がチーム全体に生まれ、それに慣れてしまうと、チームにもマンネリや馴れ合いが生じてしまう。そうならないためにも、目標を遠くに設定し、常に目標を更新することは不可欠なのです。
孫正義さんが「3メートル先を見るから船酔いをする。100キロ先を見ていれば船酔いはしない」と言ったように、今、僕たちは、40歳までメジャーでプレーすることをチームの目標に掲げています。
みんなと同じことをしても
「身体能力お化け」には勝てない
僕がプロ野球の世界に足を踏み入れたのは2010年。そこで目の当たりにしたのは異次元の世界でした。
今まで見たことのないほどの高身長の選手たち、まるで全身がバネでできているかのような、野球界で「身体能力お化け」と評される先輩方が、そこには当たり前のように存在していました。
僕の身長は182センチ(NPBでのプロフィールは184センチ。ドラフトに有利に働くように設定した数値です)。これは、あくまでプロ野球の投手の平均値であり、この世界では決して体格に恵まれているとは言えないことをすぐに悟らされました。
持っている変化球もスライダーただ1つ。少なくとも3種類以上のボールを自在に操ることが求められる先発投手の枠に、このままの自分で滑り込むのは、あまりにも無謀であり、最初の春のキャンプで、早くもプロの壁というものの輪郭をはっきりと感じ取っていました。
また、当時の球界には、今とは違う「常識」が存在していました。







