ステップ3 各種の財務指標をチェックする

 ステップ2のふるいをくぐり抜けた銘柄たちの決算書を確認していきます。

 いくら配当利回りが高くても、企業そのものの体力が弱ければ意味がありません。

 ここでチェックするのは、「この会社は長距離ランナーとして走り続けられるか?」という視点です。その判断のために、わたしは次の表にある8つの財務指標を確認しています。

 財務指標チェックの目的は以下の2点を見抜くことにあります。

「この配当を、長期的に維持・成長させられるか?」
「今後、減配や無配になるリスクはないか?」

 そのために、数字を「健康診断の検査結果」のように使うのです。

 ここで多くの人がつまずくのが、「基準がはっきりしないもの」があることです。

 例えば、企業の収益力を示すEPS(1株あたり純利益)は、明確な基準のない指標といえます。見るべきはEPSの大小ではなく、「安定して数値が伸びている」こと、「業界のなかで相対的に高い」ことです。
 
 おおまかに以下のような目安もあります。

・営業利益率は10%以上が理想
・ROE(自己資本利益率)は8%以上が目安

 しかし、これはあくまで一般論であり絶対値ではありません。なぜなら、業界によって「平均」も「常識」も違うため、単純比較ができないからです。例えば、食品業界とIT業界では、利益率の水準がまるで違います。

 ですから大事なのは、「業界のなかで高いかどうか」です。習慣的に数多くの企業の財務指標を見て、「この業界では比較的高いほうだな」という勘所を掴むことが大切です。

 ざっくり分類すると、財務指標のチェック項目には2タイプあります。

〈「稼ぐ力」を見る指標〉
 ・営業利益率
 ・営業キャッシュフロー
 ・EPS(1株あたり純利益)
 ・ROE(自己資本利益率)

 これらは、“会社の筋肉量”のようなものであり、どれくらい効率よく稼げているかを見ます。

〈「財務の安定性」を見る指標〉
 ・自己資本比率
 ・有利子負債
 ・流動比率
 ・BPS(1株あたり純資産)

 こちらは"会社の骨格と内臓"のチェックです。体がしっかりしていれば、多少の不況でも倒れることはありません。
 
 数字だけを見ると難しく感じますが、「この企業はちゃんと稼いでいて、経営方針をきちんと守っているか?」といったことを確かめる"健康診断"だと思えば、ぐっとわかりやすくなります。数字の大きさそのものではなく、「安定して伸びているか」「同業他社よりも健全か」を判断することが大切です。