(2)国債利払い費の増加:金利が現在の低水準で維持される保証はなく、2050年に向けて金利が上昇すれば、国債の利払い費は急増する。例えば、金利が1%上昇するだけで利払い費が年間10兆円以上増加する可能性がある。

(3)経済成長の停滞:少子高齢化や労働力人口の減少により、日本の経済成長率は著しく低下する。2050年の潜在成長率は0%近辺にとどまる可能性が高く、経済規模の縮小が財政収支をさらに悪化させる。

(4)地方自治体の財政破綻リスク:人口減少と過疎化の進行で、税収が大幅に減少する一方で、高齢者向けの福祉サービスやインフラ維持費が増加するため、特に過疎地域を中心に、地方自治体の財政破綻リスクが高まる。これにより、中央政府への依存が強まり、国全体の財政負担が一層重くなる。

予算と人手が不足し
行政サービスは縮小

 また、公務員数の減少によって、利用可能な公的労働力という意味でも、政府のキャパシティは縮小する可能性がある。他方で、2050年までの間に、社会保障や防衛に加え、経済の停滞やインフラの老朽化、気候変動による災害リスクの増加等への対応ニーズは増すことが予想される。

 今後25年間にわたって政府に対する行政ニーズが増加することが見込まれる中で、政府のキャパシティが縮小し続ければ、ニーズを満たすための予算や人員の不足が発生することは必然であり、ある時点において、政府が現在と同じ水準で行政サービスを提供することが不可能になると予想される。

 具体的には以下に例示するとおり、政府が、一定の内容・範囲について行政サービスの提供を縮小、中止または停止せざるを得なくなるだろう。地方自治体においても同様である。

・道路や上下水道等のインフラ設備の補修頻度の低下、利用頻度や重要性が低い一部のインフラ施設の放棄(いわゆる廃道など)
・一部の過疎地域における電気・ガス・水道を含む公共サービス提供の停止
・公的保険診療範囲の縮小、救急車の有料化
・福祉サービスや給付の縮小・廃止
・公共交通機関の縮小・廃止
・病院や市役所等の公共施設の統廃合、サービスの縮小
・学校給食の廃止、授業数の削減、教科の見直し(音楽や体育の廃止等)
・警察・消防人員数・装備の削減
・公共施設における窓口の削減・廃止(オンライン等での手続ができない住民へのサービス停止)
・各種行政サービスの有料化や利用料金の値上げ