このような形で行政サービス提供範囲を(人口や経済規模の縮小に応じた合理的な縮小にとどまらず、本来は必要と考えられるものも含めて)抜本的に縮小しなければ政府機能を維持できない状態となれば、当然、人々の生活への重大な悪影響が予想される。

 日本が世界に誇ってきた安全性や治安の良さ、平均的な医療水準の高さやそれに伴う平均寿命の長さ、社会的な安定性といった美点が失われるばかりか、国としての魅力や安定性を失い、日本そのものが国際社会において埋没するおそれも否定できない。

 このような、国民の身体・生命・財産を守るための基本的な政府機能が持続的に損なわれ回復が見込めない状態を、本記事では「政府破綻」と定義する。

小さくて大きな政府の実現が
早急に求められる

書影『政府破綻』(一般財団法人ネクストジャパン・イニシアティブ、新潮社)『政府破綻』(一般財団法人ネクストジャパン・イニシアティブ、新潮社)

 このまま何の対策も講じなければ、政府破綻は現実のものとなり、我々は、次世代に(すなわち、今の子ども達が親世代となったときに)今と同水準の安定性を持った社会を残すことができないだろう。

 状況は時が経てば経つほどに悪化するため、今、これらの大きな課題に取り組まなければ、その負債は(ある意味で、我々の世代もそうであったように)次世代の子ども達へと引き継がれ、彼らは、今よりも更に状況が悪化した世界において、ある種の撤退戦を強いられることとなる。

 そして、2050年までの間に現在の少子高齢化問題を抜本的に解決することは不可能であり、また、日本の安全保障環境が劇的に改善する事態も想定しがたいことからすれば、行政ニーズの増加を防ぐことには限界がある。したがって、政府破綻回避のためには、政府のキャパシティを増やす取組が不可欠である。

 他方、政府にとって利用可能な予算や人員も減少する見込みであることは前記のとおりであり、これを前提にしつつ政府のキャパシティを増やすためには、「小さくて大きな政府」への転換が必要である。すなわち、これまでよりも少ない予算と人数で、これまでと同等またはより多くの行政サービスを提供できる政府を目指す必要がある。