タイプ1 
強いストレスを抱え、余裕がない

 まず気をつけたいのは、慢性的にストレスがかかり、心の余裕を失っている子どもです。

 たとえば、家庭内の緊張が強い、親子関係が不安定、勉強のプレッシャーが過度に強い、習い事が多すぎて休む時間がない、友人関係でも気を張り詰めている――。

 こうした要因が重なると、子どもは心の余裕を失いやすくなります。そうすると、たまたま自分より弱い立場の子や、反撃してこなさそうな相手に対して、攻撃的な態度を取りやすくなることがあります。

 誤解してほしくないのですが、習い事が多い子や勉強を頑張っている子が、そのままいじめ加害者になるという意味ではありません。そういう単純な話ではありません。問題なのは、子どもが日常的に追い詰められ、イライラや不満の逃がし場をなくしている状態です。

 大人の研究ですが、ケネス・J・ハリスらは職場でのいじめ加害に関して、ネガティブ感情傾向(不機嫌さやイライラしやすさ)が関係していることを示しています(※3)。もちろん、これを子どもにそのまま当てはめることはできません。

 ただ、強いストレスや慢性的なイライラは、攻撃行動のリスクサインとして見ておいたほうがよい、という示唆にはなります。

 親の立場からすると「うちの子は頑張っているだけだから大丈夫」と思いたくなる気持ちは理解できます。しかし、自分の子どもが頑張りすぎて余裕を失っていないか、疲れがたまっていないか、最近やけに攻撃的になっていないかといった点を冷静に観察する必要があります。

タイプ2
不満や悪口が多い

 2つ目は、不満や悪口が多く、いつもイライラしているタイプです。

 学校の先生に向かっても、友だちに向かっても、口を開けば「ムカつく」「最悪」「あいつうざい」といった言葉ばかりが出てくる。こういう状態は、単に言葉づかいが悪いというだけではなく、その子の中にいら立ちが募っているサインかもしれません。

 ハリスらの研究は、フィナンシャル・アナリスト、銀行員、弁護士、会計士、受付係、カウンセラーなど、232人の働く大人を対象にしたものですが、そこでは不機嫌さやイライラしやすさが強い人ほど、同僚への加害行動に向かいやすいことが示されました。

 これも職場の研究ではありますが、少なくとも「慢性的にイライラしている人は、攻撃性を外に向けやすい」という傾向があると読み取れます。

 子どもの世界でも、日常的に不満や悪口ばかり言っている場合は、早めに距離感を見直したほうが無難です。

 もちろん、一時的に機嫌が悪いだけのこともあります。けれども、そうした言動が連日続いていて、しかも他人を見下したり、誰かをからかったりする言動と結びついているなら注意が必要です。

 親としては「あの子は口が悪いからダメ」と決めつけるのではなく、わが子がその空気に巻き込まれていないか、悪口が日常化するグループに引っ張られていないかを見るのが現実的でしょう。

タイプ3
自己中心的でナルシスト傾向

 3つ目は、自分が特別扱いされるべきだと強く思い、攻撃を正当化しやすいナルシスト傾向のタイプです。

 シンガポールにある南洋理工大学のレベッカ・P・アンらは、アジアの子どもたち809人(小学生と中学生)を対象に、ナルシシズムの一側面であるnarcissistic exploitativeness(自己愛的な搾取) と、いじめ行動、そして攻撃をどれくらい正当化するかを調べました(※4)。

 その結果、搾取的なナルシシズムが強いほど、攻撃を認めやすく、そのことを通じていじめ行動とも結びつくことが示されました。

 ここでいうナルシストとは、単に目立ちたがりというだけではありません。

「自分が中心でないと不機嫌になる」「人の気持ちより、自分のプライドを優先する」「自分が傷ついたと感じると、強くやり返してもいいと思いやすい」といった傾向が強い人を指しています。

 もちろん、発表会で主役をやりたがるから即アウト、という単純化はいけません。子どもの成長にとっては自己主張も必要だからです。

 ただ、賞賛を過剰に求め、他人を見下したり、利用したり、あるいは攻撃を「当然の権利」であるかのように語るなら、少し距離を置いたほうがよいかもしれません。

子どもの「少し変だな」を
見逃さないこと

 最後に、親としていちばん大切なのは、子どもに少しでも異変が出たときに、早めに介入することです。

 服や持ち物が繰り返し汚れたり壊れたりする。文房具をなくすことが急に増える。学校の話をしなくなる。朝になると体調不良を訴える。スマホを見たあとに様子がおかしくなる。こうしたサインが重なるなら、「気のせいかな」で流さないほうがいいでしょう。

 ここで大事なのは、いきなり相手の子どもを犯人扱いすることではありません。

 まずは、事実をメモし、子どもの話を否定せずに聞き、学校に相談することです。学校だけで不安が残るなら、公的な相談窓口も使えます。

 いじめや子どもの人権問題なら、法務省のこどもの人権110番。夜間・休日も含めて相談したいなら、文部科学省の24時間子供SOSダイヤル。いずれも公的な窓口です。

こどもの人権110番(法務省):0120-007-110/平日 8:30~17:15
24時間子供SOSダイヤル(文部科学省):0120-0-78310/24時間対応

「もう少し様子を見よう」と思っているうちに、状況が悪化することは珍しくありません。いじめは、早く気づいて、早く動くほど、被害を小さくしやすい問題です。

 親にできることは、子どもの人間関係を完全にコントロールすることではありません。

 ただ、危ういサインを見抜き、子どもが助けを求めやすい空気を家庭の中に作ることはできます。それこそが、わが子をいじめの被害から守り、加害者にさせないことにつながるのです。

【参考文献】
※1 Zych, I., Ortega-Ruiz, R., & Del Rey, R. (2015). Systematic review of theoretical studies on bullying and cyberbullying: Facts, knowledge, prevention, and intervention. Aggression and Violent Behavior, 23, 1–21.
※2 Hamm, M. P., Newton, A. S., Chisholm, A., Shulhan, J., Milne, A., Sundar, P., Ennis, H., Scott, S. D., & Hartling, L. (2015). Prevalence and effect of cyberbullying on children and young people: A scoping review of social media studies. JAMA Pediatrics, 169, 770–777.
※3 Harris, K. J., Harvey, P., & Booth, S. L. (2010). Who abuses their coworkers? An examination of personality and situational variables. Journal of Social Psychology, 150, 608–627.
※4 Ang, R. P., Ong, E. Y. L., Lim, J. C., & Lim, E. W. (2010). From narcissistic exploitativeness to bullying behavior: The mediating role of approval-of-aggression beliefs. Social Development, 19, 721–735.
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