野菜ジュースを飲んでいるから大丈夫――そう思っていませんか。実は、ジュースにすると食物繊維もビタミンCも大きく減り、「野菜を摂ったつもり」になりやすい。あなたの健康習慣、本当に足りていますか。
東京農業大学で栄養について長年研究し、医師としても活動する田中越郎氏の新刊『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事術』をもとに解説します。
野菜ジュースで「野菜」は摂れない
野菜や果物を食べる目的は何でしょうか。
主な目的は食物繊維とビタミンの摂取です。食物繊維は大きく2つに分けられます。すなわち、水に溶けないものと溶けるものです。
野菜や果物をジュースにしたとき、フワフワの状態が目で見えるのが不溶性食物繊維、溶けてしまって見えなくなっているのが水溶性食物繊維です。
栄養面ではそれぞれ特徴があるのですが、その詳細はよくわかっていません。よって栄養学的には、どちらもきちんと摂ることが推奨されています。
たとえば、グレープフルーツの場合、そのまま食べると、果肉中の不溶性食物繊維も全部一緒に摂ることができます。
一方、自分で搾ってジュースを作ると、不溶性食物繊維は本体の方に残ってしまい、ほとんど摂ることができません。
普通の市販のジュースでも、その作製過程中に濾過という工程があるので、大きめの塊は除去されてしまいます。つまり、ジュースだけでは不溶性食物繊維は摂取不十分になりやすいのです。
トマトを例に取ると、トマト丸ごと1個(150g)中の不溶性と可溶性の食物繊維量は約1.1gと0.3gです。
一方、市販のトマトジュース200mL中の不溶性と可溶性の食物繊維量はおおよそ0.2gと0.1g程度、つまりトマト1個の4~5分の1程度しか入っていないのです。
トマトに限らず、一般の野菜・果物ジュースの食物繊維の含有量はこんなものだと思ってください。
これに対し、食物繊維の1日目標摂取量は20~25gもあるので、全量をトマトジュースだけで補おうとすると、1日に15Lほど飲まないといけない計算になります。
野菜・果物ジュースは、食物繊維の供給源としては過度な期待をせず、飲まないよりはまし程度に考える方が無難です。
また、野菜や果物を食べるもう1つの目的にビタミンCがあります。ジュースを作るときは一般にはミキサーを使います。ミキサーを高速回転させると、空気中の酸素や組織中の酸化酵素などと強制的に混ぜ合わされることになるので、ビタミンCは壊れてしまいます。
たとえば、リンゴに2倍量の水を加えてミキサーにかけると30秒で約8割のビタミンCが壊れてしまいます。
つまり、リンゴはジュースにするとビタミンCは5分の1に減少してしまうのです。
このように野菜・果物ジュースはビタミンCの供給源としてはあまり適していません。
なお、工場でジュースを作る場合は、途中の工程で食品添加物としてビタミンCを加えることが可能ですし、実際に添加されていることは多いです。
この場合は容器のラベルに「アスコルビン酸」と記載されています。
なお、リンゴをおろし金ですりおろしても、ビタミンCは空気中の酸素により30秒でほぼ100%壊れてしまいます。
(本記事は、書籍『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事術』から一部抜粋・編集した記事です)
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ひとつの論文やエビデンスだけを信じた食事では、栄養が偏ってしまいます。
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そんななか、食事対する必須知識として「栄養学」への関心が高まっています。
本書では、東京農業大学で栄養学と生理学の研究を続け、医師でもある著者が「栄養学的に正しい」最高の食事術を紹介します。
誤解しがちな栄養に関する知識を正し、実生活のなかですぐに取り入れることができる具体的な食べ方や食材、食品がふんだんに掲載されています。
基本となる知識と具体的な食事術を学ぶことで「健康法」迷子から抜け出し、食事によって人生が変わる1冊です。
主要目次
第1章 まず知るべき「栄養と食品」の基本
栄養バランスは毎日考えなくていい─「1週間」でつじつまが合えばOK
「完全栄養食」を信じるな─「これだけを食べれば大丈夫」などありえない
トクホと「健康食品」はまったくの別物─機能性食品の違いをおさえる
第2章 「病気と栄養」の危ない関係
ジュースが危ない本当の理由─果糖とブドウ糖はヤバすぎる
「体にいい油」も要注意─変性すれば、すべて悪玉
「コーラで歯が溶ける」は本当─リン酸の強さとその代償
第3章 栄養学的に「ヤバい」食習慣
ファストフードで地雷を踏むな─シェイクのヤバさを知る
黒烏龍茶でチャラにはならない─「焼け石に水」で食べ過ぎを招く
プロテインが逆効果になる?─肝臓・腎臓が酷使される理由
第4章 頭が悪くなる「脳をダメにする」食事
ビタミン不足は静かに脳を鈍らせる─頭が悪くなる仕組み
「カルシウム不足でイライラする」のは本当か?─科学的根拠はない
「コーヒーを飲まないと頭が回らない」は危険信号─カフェイン依存のリスク
第5章 「体によさそう」に惑わされないための知識
野菜ジュースで「野菜」は摂れない─ビタミンCも食物繊維も抜けている
「グルテンフリー神話」に惑わされるな─アレルギーがなければ無視していい
サプリメントは買わなくていい─価格も品質も信用できない
第6章 「食べないほうがいい」食品の誤解を解く
コレステロールは敵ではない─体の必須成分と動脈硬化の関係
「白米を食べると太りやすい」のはなぜか─長所と短所を理解する
「うま味調味料=危険」は思い込み─グルタミン酸ナトリウムの正体
第7章 誰でもすぐに実践できる「栄養学的な食習慣」
チェーン店で健康的に食べる方法─最強はリンガーハットの「ちゃんぽん」
パフォーマンスを上げるには「お酢」を飲む─最速でシャキッとする
「腸活」ブームが見落としているもの─腸内細菌は大腸にいる
第8章 「体調と体質を改善する」食事術
風邪をひいたらホットジュースを飲む─「ダイダイ湯」「生姜湯」がいい
食べるべき食品ベスト1は「納豆」─ビタミンKが爆増する発酵の力
「なんとなく不調」なときは食べものを疑う─5つの食事リセット術
第9章 「ストレスから体と心を守る」食事術
老化と病気は抗酸化物質で防ぐ─「ポリフェノールたっぷり」に騙されない
「おいしく・安く・栄養豊富」な旬の食材を選ぶ─無駄にお金をかけなくていい
強いストレスには「動物性たんぱく質」と「ハーブティー」─メンタルを整える食事
第10章 「やせながら元気になる」栄養学的ダイエット術
「2日で1.5kg」は誰でもやせられる─大切なのは継続できるかどうか
リバウンドを防ぐための小さな工夫─体だけではなく「心の健康」を維持する
「体脂肪率」に振り回されるな─大切なのは「経過」を追うこと
第11章 「健康なまま長生き」するための食事術
「空腹は最強のクスリ」は本当か?─実践してわかった長所と短所
40歳から筋肉は勝手に減り続ける─寝たきり回避には「たんぱく質」が必須
発がん性物質を避けるには「焼く」よりも「煮る」─肉はマリネがおすすめ