「子どもがスマホばっかり見て困る!」と悩んでいる人も多いのではないだろうか。そんな人におすすめなのが書籍『私たちはなぜ「やるべきこと」をやれないのか、「やめたいこと」をやめられないのか』(キム・ソクチェ著/岡崎暢子訳)だ。本書は、神経内科専門医として脳科学分野の第一線で活躍する著者が、「感情や欲望に振り回されずに生きる方法」を、脳科学・心理学・哲学の視点から解説。子育てに関する章では、親の理想を押しつけすぎずに、子どもの潜在能力を伸ばす方法を紹介している。本記事では本書の発売を記念して、その内容を一部抜粋・再編集して紹介する。

子どもをスマホ漬けにしない方法Photo: Adobe Stock

子どもが外遊びよりスマホに夢中になってしまう納得の理由

子どもの脳内では、「うわぁ、いいじゃん!」と感じるときにドーパミンが分泌されます。

ドーパミンは元来、生存に欠かせない活動にモチベーションを与える役割をしていました。

しかし、今の子どもたちは昔の比ではないほどの「強くて速い刺激」があふれる環境に生きています。

スマホ、ゲーム、SNSなどは、従来の「ご褒美」よりもずっと速く強力な「うれしい!」という気持ちを与えてくれます。

子どもが宿題よりもゲームを選んでしまうのも自然なことではあるのです。

スリルや好奇心を満たしたい年頃

とくに子どもの脳はドーパミンに敏感です。

思春期になると、ドーパミンを受け取る受容体の働きがピークに達し、スリルや好奇心を満たすことを求める本能が強くなります。

進化の過程では、これが「ねぐらを出て世界を探検すべし」のサインだったのですが、今日ではその探検本能の行き先が、SNSの無限スクロールやゲームのレベルアップといった「デジタル刺激」に置き換わってしまいました。

子どもの脳としては、こうした衝動もまた自然な成長の一部なのです。

ショート動画を見すぎると、勉強や読書に興味を持てなくなる!?

問題は、この衝動が過度に刺激されたときに起こります。

スマホやゲームは、子どもの脳に対して、ドーパミンを一気に放出させる強い刺激を与えます。

とくにショート動画のような手軽で短く強烈な映像に慣れてしまうと、「ゆっくりと、予測可能な報酬」をもたらす勉強や読書といった活動から興味をなくしてしまうのです。

子どもが勉強に興味を持つために、親ができること

子どもの関心を学びや成長の方向へ向け直すためには、彼らが本能的に欲しがる「迅速なフィードバック」をうまく活用する工夫が必要です。

たとえば、「3時間勉強する」という大きな目標より、「15分集中して2問解く」といった「小さな目標」を設定する。

これならすぐに成功体験が得られ、ドーパミンも自然に刺激されます。

「すごい、よく解けたね!」といった具体的なほめ言葉をかけたり、目標の達成ごとになんらかの楽しい活動と結びつけたりすることも効果的です。

子どもの脳は「遠い大きなご褒美」より、「目の前の小さな成功」に強く反応するからです。

「目先の楽しみ」も否定しない

子どもが絶えず刺激を求めるのであれば、その衝動を止めようとせず創造的で生産的な方向へ導いてください。

「目先の楽しみ」を否定せず、意味ある経験と少しずつ結びつければ、やがて「ゲームだけでなく勉強もおもしろい」と感じるようになります。

(本稿は『私たちはなぜ「やるべきこと」をやれないのか、「やめたいこと」をやめられないのか』から一部抜粋・再編集した記事です)