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企業では「意識改革」や「マインドチェンジ」が組織改革の合言葉のように語られる。しかし実際には、経営陣がいくら危機感や挑戦を呼びかけても、社員が素直に動くとは限らない。パーソル総合研究所上席主任研究員の著者によれば、むしろ人間は、周囲にただよう「空気」に強く影響されて動くことのほうが多いという。組織の対話がすれ違う本当の原因に迫る。※本稿は、小林祐児『職場の対話はなぜすれ違うのか』(光文社新書)の一部を抜粋・編集したものです。
「対話ができる組織」ではなく
「対話が成り立つ前提」を作る
本記事のキーワードは、「コモン・センス」です。
この記事で言う「コモン・センス」とは、「みんなもそう思っているだろう」「この情報は皆も共有しているだろう」という、共通と思える他者の知識についての予期のことを指しています。私たちのコミュニケーションは、こうした“共有しているはず”という期待を足場にして、なんとか成立しています。
逆に、コモン・センスが弱くなってくると、世代間のギャップ、前提のズレ、伝わったと思ったのに伝わっていなかったこと…。こうした目に見えないズレが多くなり、組織の人間関係は徐々に「他人」に戻っていってしまいます。社会全体でコモン・センスが希薄化していっている今、必要なのは、「対話ができる組織をつくる」ことより先に、「対話が成り立つ前提」をつくることだと筆者は考えています。
さらに、コモン・センスが組織コミュニケーションにとって重要になる背景があります。それは、「人の意識やマインドを変える」というアプローチの組織の変え方が、もう限界を迎えていることです。
多様な働き方が生まれた今
一律の「意識変革」はできない
会社が成長していないとき、業績が悪化したとき、多くの管理職や経営者は口を揃えて、従業員に「もっと挑戦する意識を持ってほしい」「危機感が足りない」と言うものです。また、組織風土変革やパーパス経営の中で「意識改革」や「マインドチェンジ」が叫ばれることも多いです。そのように人の意識を変えることによって組織を変えようとするアプローチを、ここでは「意識変革アプローチ」と呼ぶことにします。







