2026年度予算が成立したことを受け、記者団の取材に応じる高市早苗首相2026年度予算が成立したことを受け、記者団の取材に応じる高市早苗首相 Photo:SANKEI

円安、1ドル160円台に近づく
WTI原油先物価格はなお乱高下

 2026年春、日本経済は危機的な状況に直面している。中東情勢の緊迫化に伴って原油価格が高騰し、それと並行して円安が進行しているためだ。ドル円レートは1ドル=160円近くと、近年の最低水準に接近している。

 WTI原油先物価格は、ホルムズ海峡の封鎖で一時は、1バレル119ドル台まで上昇、その後も110ドル台で推移していたが、7日、アメリカとイランの「2週間の停戦合意」が発表されると90ドル台まで下がるなど、乱高下している。円安もやや戻した。

 エネルギー価格の高騰と円安が同時に進行することによって、輸入物価が急騰し、国内物価を押し上げる「複合的供給ショック」が生じているのだ。

 ドル円レートはこれまでも1ドル=160円に近づいたことがあったが、その時には、ガソリンなど原油製品の価格高騰という問題はなかった。しかし、今回は物価に大きな影響を与えるガソリン価格高騰と円安が、共に深刻化している。この意味でこれまでとは深刻度が大きく違う。

 石油関連製品が高騰する中で円安が進めば、物価上昇率はさらに高まり、日本経済はコントロールできない状態に陥ってしまう危険がある。

 ロシアのウクライナ侵攻や対ロ制裁が行われた22年ごろには、円安は、インフレ懸念から欧米中銀が利上げを進めた一方で、日本銀行が緩和を維持したために、日米金利差の拡大によって進み、それによって輸入物価が上昇し、他方で原油価格が高騰した。

 ただし22年当時には、ホルムズ海峡の航行は維持されており原油供給の途絶によって日本経済が危機に陥るという懸念はなかった。

 しかし、ホルムズ海峡のタンカー航行の回復のめどが立っていない現時点では、原油供給断絶はあり得ないことではない。

 備蓄などがあるので、多分、そこまでの事態には陥らないと考えられるにしても、日本経済が置かれた現在の状況は、22年当時に比べてずっと深刻だと考えざるを得ない。