イラン情勢“有事のドル買い”で「1ドル150円台半ば」の円安定着?円相場を為替の専門家6人が徹底予測!Photo:NurPhoto via AFP/JIJI

米国とイスラエルによるイラン攻撃を受け、為替市場では改めて「有事のドル買い」が進んだ。もっとも、ドル円は160円近辺で上値の重さも意識され、日本当局の介入警戒が相場を抑えている。紛争が短期で収束するのか、長期化するのか。そして、ドル円やユーロ円はどう動くのか。ダイヤモンド編集部は為替のエキスパート6人に緊急アンケートを実施した。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)

ドル高加速も160円近辺では
為替介入への警戒感

 2月28日の米国とイスラエルによるイラン攻撃開始以降、ドル高が進んでいる。

 対円では攻撃前の1ドル=150円台半ばから160円近辺へと上昇し、対ユーロでもドル高が進んだ。市場では改めて、「有事のドル買い」が意識されている。

 実際、トランプ米大統領が日本時間4月2日午前の演説で今後2~3週間にわたりイランを「極めて厳しく」攻撃する姿勢を示すと、停戦期待は後退し、ドル買いと株安、原油高が同時に進んだ。

 ここでいう有事とは、戦争や政治的混乱、経済危機などを指す。米国自身が関与する紛争でドルが買われるのは一見すると奇妙にも映る。

 だが、中東産原油への依存度が高い日本や欧州に比べ、米国は世界有数の産油国であり、エネルギー面での耐性が相対的に高い。加えて、ドルは基軸通貨であり、国際決済の中心でもある。有事の際にまず確保しておきたい通貨として、ドルが選好されやすい構図は今も変わっていない。

 もっとも、対円レートで見ると、ドル高の勢いにも限界が見える。紛争勃発以降、ドル円は160円を上回る場面があったものの、160円台前半では上値の重さも意識されている。

 停戦期待を裏切った日本時間4月2日10時からのトランプ大統領の演説前後では、株価は急落した一方、円相場の下落は比較的小幅にとどまった。ドル買いが進みやすい地合いであっても、円安が一方的に加速する状況ではない。

 背景にあるのが、日本当局による為替介入への警戒感だ。1月下旬にはレートチェックが行われ、日米の協調介入観測が強まった。その後も円が160円近辺まで下落するたびに、東京市場では当局の出方が強く意識されてきた。

 実際、足元でも日本政府は投機的な動きに対して必要な対応を取る構えを示しており、これがドル円の上値を抑える一因となっている。

 米国は今後2~3週間、イランへの強い軍事圧力を維持しつつ停戦に持ち込みたい考えとみられる。だが、協議が整うかは不透明だ。イランを巡る紛争が長引けば、ホルムズ海峡を通る原油供給への懸念が続き、原油高が世界経済にインフレ圧力を加える。

 トランプ大統領の演説後にはブレント原油が1バレル=109ドル前後まで上昇し、市場では景気下押しと物価押し上げが同時に進むことへの懸念が強まった。

 では、紛争が短期で終わるのか、それとも長期化するのか。それによって為替相場はどう動くのか。為替相場のエキスパートたちは、紛争の終結時期とその後の相場をどうみているのか。今回、ダイヤモンド編集部はエキスパート6人に、為替相場と中東情勢の収束時期の見通しを聞く緊急アンケートを実施した。

 回答の多数を占めたのは、比較的短期で収束するとの見方だった。その前提では、6月末に向けて円の対ドルレートは150円台半ばへと持ち直すとの結果になった。もっとも、紛争が収束したとしても、大幅な円高に振れるとの見方は少数派にとどまっている。

 次ページでは、ドル円相場や、対ユーロ相場の見通しも含めたアンケート結果を公開する。