シンプルなのに劇的な効果をもたらすバイロン・ケイティの「ワーク」

 筆者は、こうした問いかけがもつパワーを実感し、効果的な質問についてもっと学びたいという思いから参考となる書籍を探していて、バイロン・ケイティの著書『ザ・ワーク』に出会いました。ストレスをもたらす考えに対し、「4つの質問」を問いかけていく「ワーク」という手法を紹介したものです。

 ワークにおいては、自分にストレスや苦しみをもたらすビリーフ(信じている考え)に対し、「それは本当でしょうか?」から始まる4つの質問を順次問いかけていき、次に「置き換え」という作業を行いながら、その考えを解きほぐしていきます。一通り終わると、考えの幅が広がり、客観的に自分の状況を見ることができ、心が落ち着き、新しい可能性が見えてきます。

 このワークは、悩みだけでなく、たとえば重要な決定や行動の際に気になっていることについて行うことで、クリアな気持ちで取り組むことができます。個人的な問題についても、仕事上の課題についても、いつでもワークを活用することができます。そしてセルフワークとして、ひとりで行うこともできますし、誰かのサポートを得ながら行うこともできます。

 ケイティの主な本はいずれも全米でベストセラーとなり、世界的にも大きな反響を呼んでいます。当初は筆者自身、こんなシンプルな方法がそれほど大きな効果を生むとは想像しにくかったのですが、自分自身で実践したり、ワークショップで多くの人たちの取り組みを見ているうちに、驚異的な可能性を秘めたものであることがわかってきました。20分~1時間という短時間であっても、通常ではあり得ないような自分についての深い気づきや前向きな気持ちが生まれるのです。