恋人への執着は実は「自分の考え」への執着
たとえば失恋したある女性は、「彼を失ったら自分の人生はだめになる」と非常に落ち込んでいましたが、1時間ほどのワークの中で、自分の考えと現実が違うことでいかに苦しみを生み出しているかを明確に見ることができ、心を解放し、エネルギーを取り戻していきました。その後、彼女に会う機会がありましたが、変わらず生き生きとしていて、新しい仕事に積極的に取り組んでいました。
恋愛関係のように、相手に対する執着(相手についての考えに対する執着)が強い場合でも、こうした短時間で変化が起き、しかも持続するのは、驚くべきことです。
また、筆者自身の体験ですが、会う度に皮肉を言う人にストレスを感じ、気が滅入っていました。ある時、会う前にワークに取り組んでみたところ、「彼女は変わるべきだ」というビリーフを自分がもっていたことに気づいたのです。それで、そうした考えをできるだけもたずに会ってみることにしました。そうすると、肩に力が入っていなかったせいか、相手は今までで一番、フレンドリーだったのです。そしてそれ以降も、ずっといい感じで接してくるようになりました。ワークは、自分の考えを信じていると、ストレスフルな感情が生まれてくるという、その因果関係を明らかにしてくれます。
他にも、部下や上司との関係に悩んでいた方が、自分のビリーフに取り組むことで、職場に戻った際に、相手といい関わりができた、あるいは恐れずに関わることができるようになったということもよくあります。経営者へのコーチングでは、今後の方向性に関し、可能性を制限している考えに取り組むことで、頭と心がクリアになり、よりよい判断ができたということもありました。