入所から1週間ほど経った、1986年のある日の朝。自分はベッドに寝る価値すらないと、床に横たわっていたのですが、突然、目覚めます。あらゆる苦しみは、自分の考え――「私の人生は最悪だ」、「私は幸せになる資格がない」など――からくる、と。状況そのものが苦しみをもたらす訳ではないのです。そのことに気づいた時、笑いがこみ上げてくるほどでした。

「私の世界」が消える

 「自分の考えを信じる時は、苦しむ。信じない時は、苦しまない」――それはとてもシンプルでありながら、人生を一変させる普遍的真理でした。すべての怒りや悩み、そして当たり前のように信じていた「私の世界」が消え、すべてが、ただありのままの姿で存在しているのです。

 この彼女の気づきは、「執着から苦しみが生まれる」という、仏教的な考えを思わせますが、ケイティには、いかなる宗教的・思想的背景もありませんでした。そしてこの時の体験を、「現実に目覚めた」と表現しています。彼女が自宅に戻ってきた時、その変化は明らかで、家族や友人にとって、別人のようになっていました。感情的で攻撃的だったケイティがすっかり穏やかになり、幸福感に包まれていたのです。

 まもなく噂が広まり、どうしたら彼女のようになれるか、学びたいという人達が訪ねてくるようになりました。ケイティは親身に相談に乗っていましたが、その数が増える一方だったため、誰もが自分でできるようにと、彼女自身の「内面の問いかけ」を「ワーク」として体系化しました。

 さらにワークを通じて驚異的な変化を遂げた人たちについての話が広まるようになると、ケイティはさまざまな団体や企業、教育機関、病院、刑務所などに招かれ、ワークショップを行なうようになりました。これまでに世界中の数百万に上る人たちが彼女のワークの恩恵を受けています。

次回は7月23日更新予定です。


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『新しい自分に目覚める4つの質問』

自分の考えを信じる時は苦しむ。信じない時は苦しまない――苦しみのどん底で現実に目覚めたケイティは、シンプルな4つの「問いかけ」の力で人生が一変し、自分ばかりでなく世界中の数百万人の人々をストレスや苦しみから解放した。

ケイティがワークについて語ったことのなかからとくに役立ったという声が寄せられた言葉を、「ワーク」のセッション事例とともにテーマごとに編纂、読者がそれぞれの答えを自分の中に見出すきっかけとなる234項。

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