「グルテンフリー=体にいい」と思って、なんとなく小麦を避けていませんか? けれど、アレルギーや特別な事情がない人まで制限しても、その効果はあいまいです。健康のつもりの選択が、ただの思い込みになっているかもしれません。
東京農業大学で栄養について長年研究し、医師としても活動する田中越郎氏の新刊『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事術』をもとに解説します。

「小麦は食べない方がいい」と言う人が見落としがちな、残念な真実とは?Photo: Adobe Stock

「グルテンフリー神話」に惑わされるな

仮にあなたが甲殻類アレルギーではないとします。

そして知人のAさんは甲殻類アレルギーだとします。

Aさんに甲殻類アレルギーがあるからといって、あなた自身もエビやカニの摂取を控えるでしょうか?

普通は自分に甲殻類アレルギーがなければ、他人のアレルギーのことなど気にせず、エビやカニをおなかいっぱい食べますよね。

さて、同じことをグルテンで考えてみましょう。

グルテンとは小麦由来のたんぱく質です。

パンを作るときなど、小麦粉に水を加えてこねると、小麦粉中の2つのたんぱく質が合体してグルテンという新しいたんぱく質が作られます。

このグルテンにアレルギーを示す人がたまにいて、これをグルテンアレルギーといいます。

テニスのジョコビッチ選手がグルテンアレルギーで、「グルテン」の知名度が一気に上がりました。

グルテンアレルギーの人は、小麦を避ける必要があり、代わりに米粉やとうもろこしなどで、似た料理を作らないといけません。

小麦を使っていないものをグルテンフリーといいます。

とはいえ、甲殻類アレルギーと同じで、あなたにグルテンアレルギーがなければ、小麦を避ける必要はなく、当然、グルテンフリーの素材にこだわる必要もありません。

グルテンアレルギーがない人が「健康によさそう」だからとグルテンフリーの食材をあえて選んでも、意味はないのです。

(本記事は、書籍『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事』から一部抜粋・編集した記事です。)